象牙質(読み)ゾウゲシツ

精選版 日本国語大辞典 「象牙質」の意味・読み・例文・類語

ぞうげ‐しつザウゲ‥【象牙質】

  1. 歯の中央部を占める淡黄色の硬い組織。エナメル質とセメント質におおわれ、内部に歯髄がある。ゾウの牙のその部分が最もよく発達しているためこの名がある。歯質。
    1. [初出の実例]「Eburneatio 象牙質ヲ生ズルコト」(出典:医語類聚(1872)〈奥山虎章〉)

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最新 地学事典 「象牙質」の解説

ぞうげしつ
象牙質

dentin(e)

脊椎動物の歯を構成する最も基本的な硬組織。70%が主に水酸りん灰石の微結晶からなる無機質,18%が主にコラーゲンからなる有機質,12%が水から構成されている。硬度は5~6。上皮に誘導された外胚葉性間葉由来の象牙芽細胞によって,歯胚の歯乳頭中に形成される。ふつう,象牙芽細胞の突起を入れる象牙細管を含んでおり,これを真正象牙質(orthodentine)という。象牙質は,最古の脊椎動物である異甲類の皮甲の最表層に象牙質結節として出現し,哺乳類・人類の歯まで基本的に同じ構造をしている。象牙質は,エナメル質と違って,細胞の突起を含む生きた組織であり,鋭敏な知覚をもっている。また,齲蝕うしよく咬耗などの刺激によって,歯髄内に修復象牙質が形成されることもある。象牙質は,進化した硬骨魚類を除く多くの魚類の鱗(楯鱗硬鱗など)にも存在する。魚類の歯では,真正象牙質のほか,不規則な多数の髄腔を含む骨様象牙質(osteodentine),血管を含む脈管象牙質(vasodentine)などの特殊な象牙質が,魚類・両生類・爬虫類一部には,真正象牙質の歯髄腔が多数分岐した皺襞しゆうへき象牙質(plicidentine)がみられる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「象牙質」の意味・わかりやすい解説

象牙質
ぞうげしつ

歯の硬組織の主体をなし、エナメル質とセメント質に覆われ、内部には歯髄がある。無機質が約70%を占め、エナメル質との境界面から歯髄腔(くう)に向かって象牙細管が走っている。象牙質を削ると強い痛みを生じる。

[村井正昭]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「象牙質」の意味・わかりやすい解説

象牙質
ぞうげしつ
dentine

歯の主体をなす硬組織で,象牙芽細胞からつくられる。ヒトでは,歯冠部はエナメル質で,歯根部はセメント質でおおわれており,淡黄色で,エナメル質ほど硬くないが,骨よりも硬い。形はほぼ歯の外形に一致し,中央部の歯髄腔を囲んでいる。歯髄腔を中心として,象牙質の表面に向って放射状に象牙細管が走り,内部を象牙線維が貫いている。これに沿って感覚神経線維が走っているので,う蝕(虫歯)その他の原因でエナメル質やセメント質が欠損し,象牙質が露出すると,痛みを感じるようになる。この場合,う蝕部が歯髄に近かったり,長期間露出していたり,あるいは神経質な人などでは,知覚の亢進状態が長く続くことがあり,象牙質知覚過敏症といわれる。

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栄養・生化学辞典 「象牙質」の解説

象牙質

 歯牙三硬質とよばれるものの一つで,歯髄の周囲を覆う.

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世界大百科事典(旧版)内の象牙質の言及

【歯】より

… 第2はその他すべての脊椎動物,つまり顎骨(がくこつ)を備えた顎口類にみられるリン酸カルシウム質の歯で,真の歯ともいうべきものである。これは中心部にある歯髄,主体をなす象牙質,歯冠表面のエナメル質,および哺乳類の歯根表面にあるセメント質という4種の組織からなる特異な器官で,発生学的には歯髄,象牙質,セメント質は真皮を母体とし,エナメル質は口腔上皮を母体として形成される。エナメル質は鉱物質の結晶のかたまりで,生体中で最も硬度の高い組織であるが,他の3組織は生活組織である。…

※「象牙質」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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