国指定史跡ガイド「石のカラト古墳」の解説
いしのカラトこふん【石のカラト古墳】
京都府木津川市兜台と奈良県奈良市神功(じんぐう)にまたがる古墳。標高112mの丘陵部緩斜面に築造された上円下方墳で、別名をカザハヒ古墳ともいう。墳形が上円下方というわが国では唯一の例であり、遺存度も良好であることなどから、1996年(平成8)に国の史跡に指定された。古墳の構造や出土遺物から7~8世紀に築造されたと推定され、この時期の貴人の墓としてきわめて重要なものといわれている。墳丘は版築技法による2段築成で、第1段の方形部は1辺13.8m、第2段の上円部は径9.2m、高さ2.9mで、下段の表面は30cm大の石で葺かれているが、上段の葺石(ふきいし)はほとんど失われている。石室は横穴式石槨(せっかく)で、間口1.15m、奥行き2.6m、高さ1.2mあり、15枚の凝灰岩の切り石でできている。遺物は金・銀製の玉各1、銀装唐様太刀鞘責金具、金箔片、木心乾漆棺断片などのほか、須恵器(すえき)片1点が出土した。1996年(平成8)に国の史跡に指定された。現在、築造当時の姿に復元され、公園として整備されている。近畿日本鉄道京都線高の原駅から徒歩約20分。