改訂新版 世界大百科事典 「研磨布紙」の意味・わかりやすい解説
研磨布紙 (けんまふし)
coated abrasives
研磨材の粒子または微粉を,にかわ,ゼラチン,合成樹脂などの接着剤で綿布や紙などの可撓性基材の面上に均一に固着した研磨工具の総称。シート状(薄板状),ロール状の研磨布,研磨紙,耐水研磨布,耐水研磨紙,ベルト状の研磨ベルト,円板状の研磨ディスクなどがある。研磨紙は紙やすりまたはサンドペーパーsandpaperと呼ばれることもある。耐水研磨布紙は,耐水処理をした布または紙基材と耐水性接着剤とを用いてつくったもので,水でぬらした状態で作業できる。研磨ディスクは,バルカンファイバー板などを基材とする。研磨材としては,アルミナ質,炭化ケイ素質,人造エメリー,天然のエメリーやガーネットおよびケイ砂などが使われる。アルミナ質研磨材は鋼の加工に,炭化ケイ素質は非鉄金属やガラスなどに,ガーネットは木材に適する。ダイヤモンドを固着した研磨布も開発された。研磨材の粒度は粗いものから非常に細かいものまでいろいろある。磨き用の研磨布として,ごく薄いプラスチック基材に微粉を接着したものが,磁気ヘッドの仕上げに使われている。研磨布紙に用いられる研磨材の粒形としては,研削といし(砥石)のそれに比べて細長いものが賞用される。研磨布紙は手作業にも機械作業にも使用できるが,最近,機械作業に用いられる量が急増した。研磨布紙による加工の特徴としては,可撓性工具を使って,加工物との接触形式を多様に変えられることがあげられる。
執筆者:今中 治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報