翻訳|garnet
宝石の一種。その名はラテン語のgranatus(〈種(たね)をもつ〉の意)による。和名は〈ザクロ石〉で,粒状結晶の集合の形態を語源としている。ガーネットは古代エジプト遺跡から彫刻されたものが出土し,ギリシア・ローマ時代には護符としても用いられた。その赤色は血を連想させるため,負傷から身を守る護符として用いられた。赤色の丸カボション・カットの小粒石はカーバンクルcarbuncleと呼ばれ,中世には十字軍兵士が戦場におもむく時,好んで身に着けたと伝えられる。
ガーネットは単一宝石ではなく,各種のガーネット群によって形成されている。アルマンディンalmandine,パイロープpyrope,両者の中間的成分のロードライトrhodoliteの3種は赤色から帯紫赤色,暗赤色を示し,真実,友愛,忠実を象徴し,1月の誕生石に用いられる。スペサルティンspessartineは橙色系の色であるが,透明度の良いものが宝石用となる。グロッシュラーgrossularは最も変化に富み,透明種と半透明種とに分かれる。透明種のうち,ヘソナイトhessoniteは黄褐色から赤褐色を示す。赤みの強いものはシナモン・ストーンと呼ばれる。ケニアのツァボ国立公園の名をとったツァボライトtsavoriteは無色,黄色,緑色,褐色などの透明石をバナジウム着色によって鮮緑色にしたものである。半透明,塊状で産出するハイドログロッシュラーhydrogrossularは,南アフリカのトランスバール州で産出し,緑色とピンク色があるが,緑色石はヒスイ類似石として,南アフリカ・ジェード,あるいはトランスバール・ジェードの名称で取引される。アンドラダイトandraditeのうちで,鮮やかな緑色のデマントイドdemantoidは希少価値があり,とくに珍重される。ウバロバイトuvaroviteには宝石種のものはほとんどない。なお,ガーネットの鉱物的性質については〈ザクロ石〉の項を参照されたい。
執筆者:近山 晶
イギリスの小説家。批評家エドワードの子。祖父リチャードRichardは大英博物館図書部長で文学者,母コンスタンスConstanceもロシア文学の翻訳家という文学的名家に生まれ,自宅で教育を受け,植物学に熱中,ローヤル・カレッジ・オブ・サイエンスに進む。第1次大戦中は良心的反戦論者としてクエーカー教徒とともに負傷者救助活動に従事,戦後書籍商などをしながら,狐になった妻と暮らす話《狐になった婦人》(1922)で文壇に登場。恋人と喧嘩して〈人間〉見本として動物園入りを志願する《動物園の男》(1924),イギリスに来たダホメー王国の黒人王女の物語《水夫還る》(1925)など,幻想風の話を簡潔清楚な文体でリアリスティックに描く作品が有名だが,《愛の諸相》(1955)で始まる後期の一連の小説は中年の金持を描き,これらとはまったく違った風俗小説である。ほかに自伝《黄金のこだま》(1953),第2作《森の花》(1955)がある。第2次大戦前から飛行機操縦に熱中,戦争中は空軍に属し,《空中戦》(1941)など,その方面の著作も多い。
執筆者:鈴木 建三
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生没年不詳。イギリスの児童文学作家、画家。ウースターシャーに生まれ、ロンドンの王立美術学校に学ぶ。画業はテート・ギャラリーに陳列されている。スケッチのため訪れたスラム街で貧困の実情をみて義憤をもち、貧乏撲滅の一発の弾として、『ふくろ小路一番地』(1937)を発表。ユーモアとペーソスあふれる貧しい一家の物語は、底にある強烈な人道主義によって読者の心を揺さぶったが、現在は外側からの同情という批判もある。『続ふくろ小路一番地』(1956)は前作に及ばない。
[神宮輝夫]
『石井桃子訳『ふくろ小路一番地』(岩波少年文庫)』
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…重要な造岩鉱物の一つであり,立方晶系に属し,化学組成はRII3RIII2Si3O12(ここでRIIはCa,Mg,Fe2+,Mn,RIIIはAl,Fe3+,Crなど)で表されるザクロ石族に属する一群の鉱物の総称である。端成分はパイロープMg3Al2Si3O12,アルマンディンalmandine Fe3Al2Si3O12,スペサルティンspessartine Mn3Al2Si3O12,グロッシュラーgrossular Ca3Al2Si3O12,アンドラダイトandradite Ca3Fe2Si3O12,ウバロバイトuvarovite Ca3Cr2Si3O12,ノーリンジャイトknorringite Mg3Cr2Si3O12とSiの一部を4(OH)が置換したハイドログロッシュラーhydrogrossular Ca3Al2Si2O8(SiO4)1~m(OH)4mである。…
…赤白の小斑点のあるものは〈鹿の子(かのこ)〉と呼ばれる。またボケの一種に〈ガーネット〉,赤白の縞目ないし斑のあるものに〈スカッチ〉などの新しい称呼も用いられている。 産地としては地中海が古くから著名であったが,現在はほとんど枯渇した状態で,日本近海および南西太平洋海域が世界の供給地であり,日本船ならびに台湾船がおもに採取にあたっている。…
※「ガーネット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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