ガーネット(その他表記)garnet

翻訳|garnet

デジタル大辞泉 「ガーネット」の意味・読み・例文・類語

ガーネット(garnet)

石榴石ざくろいし

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精選版 日本国語大辞典 「ガーネット」の意味・読み・例文・類語

ガーネット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] garnet ) 等軸晶系に属する鉱物。みがいて宝石とする。一月の誕生石柘榴石(ざくろいし)
    1. [初出の実例]「ルビイとガアーネトを赤い実のやうに鏤(ちりば)めた襟留」(出典:青春(1905‐06)〈小栗風葉〉春)

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改訂新版 世界大百科事典 「ガーネット」の意味・わかりやすい解説

ガーネット
garnet

宝石の一種。その名はラテン語のgranatus(〈種(たね)をもつ〉の意)による。和名は〈ザクロ石〉で,粒状結晶の集合の形態を語源としている。ガーネットは古代エジプト遺跡から彫刻されたものが出土し,ギリシア・ローマ時代には護符としても用いられた。その赤色は血を連想させるため,負傷から身を守る護符として用いられた。赤色の丸カボション・カットの小粒石はカーバンクルcarbuncleと呼ばれ,中世には十字軍兵士が戦場におもむく時,好んで身に着けたと伝えられる。

 ガーネットは単一宝石ではなく,各種のガーネット群によって形成されている。アルマンディンalmandine,パイロープpyrope,両者の中間的成分のロードライトrhodoliteの3種は赤色から帯紫赤色,暗赤色を示し,真実,友愛,忠実を象徴し,1月の誕生石に用いられる。スペサルティンspessartineは橙色系の色であるが,透明度の良いものが宝石用となる。グロッシュラーgrossularは最も変化に富み,透明種と半透明種とに分かれる。透明種のうち,ヘソナイトhessoniteは黄褐色から赤褐色を示す。赤みの強いものはシナモン・ストーンと呼ばれる。ケニアツァボ国立公園の名をとったツァボライトtsavoriteは無色,黄色,緑色,褐色などの透明石をバナジウム着色によって鮮緑色にしたものである。半透明,塊状で産出するハイドログロッシュラーhydrogrossularは,南アフリカのトランスバール州で産出し,緑色とピンク色があるが,緑色石はヒスイ類似石として,南アフリカ・ジェード,あるいはトランスバール・ジェードの名称で取引される。アンドラダイトandraditeのうちで,鮮やかな緑色のデマントイドdemantoidは希少価値があり,とくに珍重される。ウバロバイトuvaroviteには宝石種のものはほとんどない。なお,ガーネットの鉱物的性質については〈ザクロ石〉の項を参照されたい。
執筆者:


ガーネット
David Garnett
生没年:1892-1981

イギリスの小説家批評家エドワードの子。祖父リチャードRichardは大英博物館図書部長で文学者,母コンスタンスConstanceもロシア文学の翻訳家という文学的名家に生まれ,自宅で教育を受け,植物学に熱中,ローヤル・カレッジ・オブ・サイエンスに進む。第1次大戦中は良心的反戦論者としてクエーカー教徒とともに負傷者救助活動に従事,戦後書籍商などをしながら,狐になった妻と暮らす話《狐になった婦人》(1922)で文壇に登場。恋人と喧嘩して〈人間〉見本として動物園入りを志願する《動物園の男》(1924),イギリスに来たダホメー王国の黒人王女の物語《水夫還る》(1925)など,幻想風の話を簡潔清楚な文体でリアリスティックに描く作品が有名だが,《愛の諸相》(1955)で始まる後期の一連の小説は中年の金持を描き,これらとはまったく違った風俗小説である。ほかに自伝《黄金のこだま》(1953),第2作《森の花》(1955)がある。第2次大戦前から飛行機操縦に熱中,戦争中は空軍に属し,《空中戦》(1941)など,その方面の著作も多い。
執筆者:

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガーネット」の意味・わかりやすい解説

ガーネット(Eve C. R. Garnett)
がーねっと
Eve C. R. Garnett

生没年不詳。イギリスの児童文学作家、画家。ウースターシャーに生まれ、ロンドンの王立美術学校に学ぶ。画業はテート・ギャラリーに陳列されている。スケッチのため訪れたスラム街で貧困の実情をみて義憤をもち、貧乏撲滅の一発の弾として、『ふくろ小路一番地』(1937)を発表。ユーモアペーソスあふれる貧しい一家の物語は、底にある強烈な人道主義によって読者の心を揺さぶったが、現在は外側からの同情という批判もある。『続ふくろ小路一番地』(1956)は前作に及ばない。

神宮輝夫

『石井桃子訳『ふくろ小路一番地』(岩波少年文庫)』


ガーネット(ざくろ石)
がーねっと

ざくろ石

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ガーネット」の意味・わかりやすい解説

ガーネット
Garnett, David

[生]1892.3.9. ブライトン
[没]1981.2.17. フランス,モンクック
イギリスの小説家。 E.ガーネットの息子。大学で植物学を学び,第1次世界大戦中は難民救済機関に勤務。幻想的な小説『狐になった奥様』 Lady into Fox (1922) で有名になり,ホーソンデン賞,ジェームズ・テート・ブラック記念賞を受けた。『動物園の男』A Man in the Zoo (24) ,『いなごの襲来』 The Grasshoppers Come (31) など同種のファンタスティックな作品があり,ほかに自伝,T.E.ロレンスの書簡集編纂など。

ガーネット
Garnett, Richard

[生]1835.2.27. リッチフィールド
[没]1906.4.13. ロンドン
イギリスの作家,書誌学者。大英博物館図書部に勤め,同部長 (1890~99) 。詩集やカーライル伝,ミルトン伝などのほか,E.ゴスとの共著『図説イギリス文学史』 An Illustrated Record of English Literature (1903) の大著がある。

ガーネット
Garnet, Henry Highland

[生]1815
[没]1882.2.13.
アメリカの長老派教会 (プレスビテリアン) 牧師。黒人奴隷として生れ,オネイダ共同社会の学校で教育を受ける。奴隷制反対の演説家として有名。 F.ダグラス出現以前の指導的な黒人奴隷制即時廃止論者として活躍した。 1881年リベリア駐在大使に就任。

ガーネット
Garnett, Edward

[生]1868. ロンドン
[没]1937.2.21. ロンドン
イギリスの批評家。 R.ガーネットの次男。出版社の顧問としてコンラッド,ゴールズワージー,D.H.ロレンスらを文壇に送り出した。コンラッドの書簡集の編者。妻コンスタンス (1861~1946) はロシア文学の翻訳者として知られる。

ガーネット

柘榴石」のページをご覧ください。

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百科事典マイペディア 「ガーネット」の意味・わかりやすい解説

ガーネット

英国の小説家。文学者を両親として生まれ,博物学を学んだが,のち文筆生活にはいる。代表作は奇抜な発想で有名な《狐になった婦人》(1922年)や《動物園の男》(1924年)など。

ガーネット

ザクロ(石榴)石

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デジタル大辞泉プラス 「ガーネット」の解説

ガーネツト

1955年生まれの日本の競走馬。牝馬(ひんば)。1959年、天皇賞(秋)、有馬記念で優勝。

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世界大百科事典(旧版)内のガーネットの言及

【ザクロ石(柘榴石)】より

…重要な造岩鉱物の一つであり,立方晶系に属し,化学組成はRII3RIII2Si3O12(ここでRIIはCa,Mg,Fe2+,Mn,RIIIはAl,Fe3+,Crなど)で表されるザクロ石族に属する一群の鉱物の総称である。端成分はパイロープMg3Al2Si3O12,アルマンディンalmandine Fe3Al2Si3O12,スペサルティンspessartine Mn3Al2Si3O12,グロッシュラーgrossular Ca3Al2Si3O12,アンドラダイトandradite Ca3Fe2Si3O12,ウバロバイトuvarovite Ca3Cr2Si3O12,ノーリンジャイトknorringite Mg3Cr2Si3O12とSiの一部を4(OH)が置換したハイドログロッシュラーhydrogrossular Ca3Al2Si2O8(SiO4)1~m(OH)4mである。…

【サンゴ(珊瑚)】より

…赤白の小斑点のあるものは〈鹿の子(かのこ)〉と呼ばれる。またボケの一種に〈ガーネット〉,赤白の縞目ないし斑のあるものに〈スカッチ〉などの新しい称呼も用いられている。 産地としては地中海が古くから著名であったが,現在はほとんど枯渇した状態で,日本近海および南西太平洋海域が世界の供給地であり,日本船ならびに台湾船がおもに採取にあたっている。…

※「ガーネット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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