(読み)テイ

デジタル大辞泉 「碇」の意味・読み・例文・類語

てい【碇】[漢字項目]

[音]テイ(漢) [訓]いかり
いかり。いかりを下ろす。「碇泊
[補説]「」を代用字とすることがある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「碇」の意味・読み・例文・類語

いかり【碇・錨・&JISF6B9;・重石・沈石】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 船を留めておくために綱や鎖をつけて水底に沈めるおもり。古代は、「万葉」の表記に「重石」の例があるように単に石を用いたが、中古から近世初期までは鍵形の枝木に石を結びつけた木碇(きいかり)が主に使われ、以後は、鉄製の四爪碇(よつめいかり)が主に用いられた。アンカー
    1. 碇<b>①</b>〈今西氏家舶縄墨私記〉
      〈今西氏家舶縄墨私記〉
    2. [初出の実例]「沈石(いかり)落ちし処は即ち沈石丘と号(なづ)け」(出典播磨風土記(715頃)餝磨)
    3. 「大船のたゆたふ海に重石(いかり)おろし如何にせばかも吾が恋止まむ」(出典:万葉集(8C後)一一・二七三八)
  3. 猫の首ひもの端につけ、ものにかけて引き留めるようにした碇型の具(枕草子春曙抄(1674))。
    1. [初出の実例]「猫の〈略〉いかりの緒、組のながきなどつけて引きありく」(出典:枕草子(10C終)八九)
  4. 碇型の具。
    1. (イ) 水中のものをひっかけて釣りあげるためのもの。
      1. [初出の実例]「とれました・いかり過分に御座ります」(出典:雑俳・軽口頓作(1709))
    2. (ロ) 壁面などにひっかけて、高いところにのぼるためのもの。
      1. [初出の実例]「塀のおほひに、くまで、いかりなどをうちかけうちかけのぼりける」(出典:室町殿日記(1602頃)五)
  5. を模様化したもの。
    1. [初出の実例]「肩に金てこ、裾にはいかり」(出典:黄表紙・江戸生艷気樺焼(1785)下)
  6. 紋所の名。図案化したもの。いかり、いかりかたばみ、よついかり、はないかりなどの種類がある。

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普及版 字通 「碇」の読み・字形・画数・意味


13画

(異体字)
7画

[字音] テイ
[字訓] いかり

[字形] 形声
声符は定(てい)。字はまたに作る。もと(てん)に従う字で、定、場所を定めておくことをいう。投のところを定め、いかりを下ろす。

[訓義]
1. いかり。
2. いかりをおろす。

[熟語]
碇宿碇石碇鉄・碇泊

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【錨】より

…船を係留設備のないところに停泊させる際に用いられる道具で,通常,錨鎖(びようさ)(アンカーチェーン)とともに投下して船を一定の位置に固定する。錨の歴史は古く,碇という字が用いられたことからもわかるように,古代には石や石をL字形の木片に縛ったものが用いられた。英語のanchorの語源はギリシア語のagkyra(〈曲がったもの〉〈鉤(かぎ)〉の意)に由来する。…

※「碇」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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