日本大百科全書(ニッポニカ) 「碧霞元君」の意味・わかりやすい解説
碧霞元君
へきかげんくん
中国における山岳崇拝の一中心地である、山東省泰(たい)山で祀(まつ)られた女神。宋(そう)の皇帝真宗(しんそう)が泰山で封禅を挙行したおり、山頂の池で手を洗うと池の中から女神の石像が浮かび上がったので、これを碧霞宮、つまり泰山の絶頂に祀ったという。その出自については諸説が伝えられ、泰山の主神である泰山府君の娘、あるいは孫であるとか、黄帝(こうてい)が泰山に派遣した7人の仙女のうちの1人であるなどとされる。また碧霞元君は子授けの霊験あらたかな女神として知られ、子のない婦人は争って泰山に参詣(さんけい)したが、その人気は主神の泰山府君を凌駕(りょうが)したとされている。
[桐本東太]