磁歪振動子(読み)じわいしんどうし(英語表記)magnetostrictive vibrator

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「磁歪振動子」の意味・わかりやすい解説

磁歪振動子
じわいしんどうし
magnetostrictive vibrator

磁歪現象を利用して電気振動を機械振動に変換する素子磁性材料コイルを巻き,コイルに流す直流あるいは永久磁石によってバイアス磁界をつくっておく。コイルに交流を流して交流磁界を重畳するとその周波数で振動する。逆に,バイアス磁界の存在する状態で振動子を機械的に振動させるとコイルの両端に交流電圧が発生するので受波器としても利用できる。電歪振動子の場合と異なり電流駆動型なので,高電圧を必要としない点で有利である。用いられる磁性材料にはフェライト (Ni-Cuフェライトなど) と金属磁歪材料 (ニッケルアルフェルアルミニウム 13%+鉄 87%の合金〉など) とがある。フェライトは任意の形状のものが得られ,高周波まで使用できる。金属磁歪材料を用いたものは高出力用に適している。

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百科事典マイペディア 「磁歪振動子」の意味・わかりやすい解説

磁歪振動子【じわいしんどうし】

磁歪現象を利用して,電流の振動を機械的振動に,あるいはその逆に変換するもの。5〜50kHzの超音波の発生および受波に用いる。磁歪材料としてはニッケル,フェライト,アルフェル(鉄FeとアルミニウムAlの合金)を用い,その穴のあいた薄板を積層し,穴の中の導線に交流を通して振動を生じさせる。薄板の平面形により角形振動子と有孔環状振動子の2種がある。
→関連項目超音波

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法則の辞典 「磁歪振動子」の解説

磁歪振動子【magnetprestrictive oscillator】

磁性体の磁歪現象を利用して電気振動と力学的振動とを互いに変換する電気音響変換器の一つ.超音波の発生や検出に用いられる.

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世界大百科事典(旧版)内の磁歪振動子の言及

【磁性材料】より


[磁歪材料]
 強磁性体には磁化されたときに微小な寸法変化を生じるという性質(磁歪(じわい))がある。この性質の応用としては電気信号を音に変える変換器があり,磁歪振動子と呼ばれる。材料としてはニッケルを含む合金またはフェライトなどが用いられる。…

【磁歪】より

…単結晶の単一磁区での結晶変形が基本的な現象であるが,通常観測される磁歪は,磁区構造,さらには多結晶の効果も加わったものである。磁気と結晶変形の結合という意味で重要な現象で,磁区構造を定める要因の一つでもあり,磁歪を利用して電気振動と力学的振動間の電気音響変換を行って超音波を発生する磁歪振動子としての応用もある。磁歪のうち,磁化に平行な方向での結晶の長さの変化を縦効果,垂直方向の変化を横効果と呼ぶ。…

※「磁歪振動子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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