社会主義初級段階論(読み)しゃかいしゅぎしょきゅうだんかいろん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「社会主義初級段階論」の意味・わかりやすい解説

社会主義初級段階論
しゃかいしゅぎしょきゅうだんかいろん

改革と開放政策社会主義イデオロギー上正当化するために,1987年中国共産党十三全大会において趙紫陽政治報告で提出された理論。 93年3月に改正された憲法に盛込まれた。この理論によると,中国社会はすでに社会主義社会であり社会主義を堅持しなければならない。しかしまだ生産力が低いために,社会主義の初級段階にある。この社会主義初級段階の基本的な特徴としては,(1) 公有制を主体とする多様な所有制併存,(2) 雇用労働関係の部分的存在,(3) 労働に応じる分配を主体とする多様な分配方式,(4) 公有制を基礎とする計画のある商品経済,(5) 社会主義民主制度の初級形式,(6) 社会主義精神文明建設の基礎がそれほど形成されていないこと,(7) 生産力のレベルが低いことなどがあげられる。また,市場経済を大いに発展させ,労働生産性を高め,近代化を遂次実現することが社会主義初級段階のおもな任務とされるが,そのために経済建設を中心とし改革と開放政策を堅持し,社会主義の市場経済を発展させると同時に,政治の面においても「安定団結」を前提民主政治と精神文明建設に努めることなどが,中共の長期的指導方針として打出された。 (→四つの基本原則 )

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