社会人入試(読み)しゃかいじんにゅうし

大学事典 「社会人入試」の解説

社会人入試
しゃかいじんにゅうし

高等学校や大学の既卒者を対象とする入試大学院で先行した。要件は大学により設定されるが,出願時に就業証明書の提出を求めるなど対象を就業者に限る場合や,少なくとも過去に就業経験があることを要件とする場合がある。社会人が一般入試を受ける場合は含まない。社会人の立場に配慮し,試験科目を軽減したり,書類選考や論文・面接試験など一般入試とは異なる特別な選抜方法をとる。国公立大学では大学入試センター試験の受験を免除できる。履修上の特例として,夜間部や昼夜開講制の実施も増加している。

 2015(平成27)年度は国立46大学,公立58大学,私立447大学の計1296学部で行われ,入学志願者数2717人に対して入学者数は1175人。入学者数のピークは1998年の5228人,通信制を含めると2001年の1万8340人であり,以降は減少傾向にある。少子高齢化の進行や就業者の学修ニーズの高まりを背景に,日本の大学において社会人の受入れを促進するための対策は講じられてきたものの,大学入学者に占める25歳以上の者の割合は,OECDの21%に対し,ピーク時でも2%で,現在はさらに減少している。OECDは社会に出てからも必要に応じて大学へ戻り反復的に教育を受けられるリカレント教育を提唱しており,この実現には社会人の学修動機に応える教育プログラムの充実や,大学就学に係る社会的・経済的な負担の軽減が求められる。日本では職業人再教育に重点を置く「リフレッシュ教育(日本)」という用語も使われた。
著者: 齋藤千尋

出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報

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