神倉山(読み)かみくらやま

精選版 日本国語大辞典 「神倉山」の意味・読み・例文・類語

かみくら‐やま【神倉山】

和歌山県新宮市にある山。山腹神座(かんのくら)と呼ぶ大岩壁があり、北すそに熊野速玉(くまのはやたま)大社がある。神蔵山。かんくらやま。
※続古今(1265)神祇・七三六「三熊野の神くら山の石たたみのほりはてても猶祈るかな〈藤原実氏〉」

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日本歴史地名大系 「神倉山」の解説

神倉山
かんのくらやま

熊野速玉くまのはやたま大社の西南千穂ちほヶ峯(二五三メートル)を主峰とする権現ごんげん山の南端に位置し、標高一二〇メートル。神蔵山とも書き、山頂に「ごとびき岩」という巨巌と、それを神体とする神倉神社がある。県指定史跡。

「日本書紀」神武天皇即位前紀戊午年六月二三日条にみえる、天皇軍が登ったという「熊野神邑」の天磐盾あめのいわたては神倉山に擬される。また熊野権現御垂跡縁起(「長寛勘文」所引)には、熊野権現が紀伊国切部きりべ(現日高郡印南町)から熊野新宮の南の神蔵かんのくら峯に降ったとあり、熊野神降臨の霊域として、古代より神聖視された。

昭和三一年(一九五六)神倉神社社殿改築に伴う石垣補修を契機として、ごとびき岩の周辺三ヵ所から、平安末期の鏡面毛彫馬頭観音像・亀甲文双雀鏡・常滑刻線文経壺・瓦製経筒・水晶念珠親玉納入青磁合子、鎌倉時代の金銅十一面観音像・懸仏愛染明王像、室町時代の一字一石経石など総計三〇〇点の仏教関係遺物が出土

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