家庭医学館 「神経絞扼症候群」の解説
しんけいこうやくしょうこうぐん【神経絞扼症候群】
末梢神経は、神経の走行が急に曲がったりする関節の近くや、筋肉・腱(けん)・靱帯(じんたい)などの間を通ったりするときに絞扼されやすく、それに機械的刺激(からだの一部の使いすぎや圧迫)が加わって、この病気がおこります。
絞扼性神経障害は腕におこることが多く、全体の約80%を占めています。腕の末梢神経には、正中神経(せいちゅうしんけい)、尺骨神経(しゃっこつしんけい)、橈骨神経(とうこつしんけい)の3つがあります(図「神経絞扼症候群がおこる腕神経の分布」)。
もっとも多くみられるのは、手首にある手関節(しゅかんせつ)の手のひら側で正中神経が絞扼されるためにおこる手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)(「手根管症候群」)です。
尺骨神経が、肘関節(ちゅうかんせつ)のところで絞扼されると、小指と薬指がしびれ、ワシの爪(つめ)のように変形してしまいます。これを肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)といいます。
橈骨神経が、上腕のところで絞扼を受けると、手の甲がしびれ、手や指が垂れ下がって伸びなくなります。これを橈骨神経(とうこつしんけい)まひといいます。
下肢(かし)(脚(あし))では、大腿(だいたい)(太もも)の外側にしびれと痛みがおこる大腿外側皮神経炎(だいたいがいそくひしんけいえん)、足の裏にしびれと痛みがおこる足根管症候群(そくこんかんしょうこうぐん)が代表的なものです。