福光郷・福光村(読み)ふくみつごう・ふくみつむら

日本歴史地名大系 「福光郷・福光村」の解説

福光郷・福光村
ふくみつごう・ふくみつむら

大家おおえ庄内の単位所領。現温泉津町の福光川中・下流域と河口の日本海沿岸部一帯に比定される中世郷。福光名ともみえる。室町時代には分轄されていてかみ村・しも(河下)みなと(以上を福光三方とも称した)本分もり村などからなる。貞応二年(一二二三)三月日の石見国惣田数注文に大家庄のうちとして「ふくミつ 十二丁三反大」とみえる。当郷がいつどのようにして成立したかは不明だが、藤原(大家)氏もしくはその一族の者が古代の都治つち郷の一部を開発して石見国衙から領有権を認められた福光郷(国衙領)を、大家本郷などとともに摂関家に共同で寄進して大家庄福光郷が成立したと考えられる。

安貞二年(一二二八)二月二六日の関東下知状(閥閲録)によれば、大家庄内福光村の地頭職周布すふ(現浜田市)ほかとともに藤原(御神本)兼定(周布氏初代)に安堵されている。永仁三年(一二九五)一二月六日の六波羅下知状(同書)では福光郷地頭は周布氏庶流の兼継であった。兼継は建武三年(一三三六)七月二二日の足利尊氏感状(益田家文書)では福光三郎太郎兼継(福光氏祖)と名乗り、また同年七月日の御神本兼継軍忠状(古証文)には、福光上村地頭と名乗っている。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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