秘密積立金(読み)ひみつつみたてきん(英語表記)hidden reserves

日本大百科全書(ニッポニカ)「秘密積立金」の解説

秘密積立金
ひみつつみたてきん
hidden reserves

貸借対照表上の任意積立金として表示はされないが、実質的に存在すると考えられる利益積立金。すなわち、隠された利益ないしは含み益を意味する。粉飾決算により実際には存在しないにもかかわらず意図的に計上される架空利益とは異なる。任意積立金は、株主の承認を得た正当な利益留保で、貸借対照表に表示されるが、秘密積立金は正当な手続を得ていない利益留保であるといえる。秘密積立金は、資産の過小計上、負債の過大計上、費用の過大計上、収益の過小計上によって生ずる。改築に要した金額(資本的支出)を修繕費とすれば資産の過小計上となり、引当金を過大に設定すれば負債の過大計上となる。減価償却費を過大に計上すれば費用の過大計上となり、未収収益を計上しなければ収益の過小計上となる。

 企業会計原則では、企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない(企業会計原則一般原則6「保守主義の原則」)とされており、会計上はある程度の保守的な会計処理(予測される将来の危険に備えて慎重な判断に基づく会計処理)は認められている。しかし、過度に保守的な会計処理を行うことは、企業の財政状態・経営成績の真実な報告をゆがめるので、隠された利益ないしは含み益を意味する秘密積立金の計上は認められない。

[宮崎 徹・中村義人]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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