秘色(読み)ひそく

精選版 日本国語大辞典 「秘色」の意味・読み・例文・類語

ひ‐そく【秘色】

〘名〙
① (中国の唐時代、天子供進の物として、臣下庶民使用を禁止したところからいう) 中国の越国産といわれる青磁の器。
※宇津保(970‐999頃)藤原の君「ひそくの坏ども」
② 「ひそくいろ(秘色色)」の略。〔満佐須計装束抄(1184)〕

ひ‐しょく【秘色】

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デジタル大辞泉 「秘色」の意味・読み・例文・類語

ひ‐そく【秘色】

《王家以外の使用を禁じたところから》中国の越州窯で、晩唐から五代にかけて作られた良質の青磁花鳥・竜など、優美な文様を施す。秘色青磁
秘色色ひそくいろ」の略。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「秘色」の意味・わかりやすい解説

秘色
ひしょく

中国,唐末 (9世紀末) に興起した呉越王銭氏の治下に,浙江省越州窯で焼かれたすぐれた青磁器。一般の使用が禁じられたため,「秘色青磁」と呼ばれたといわれる。海外に盛んに輸出され,日本でも平安時代文献に「ひそく (秘色) 」の名が散見する。朝鮮では越州窯の影響を受けて高麗時代の 10世紀頃から青磁が焼かれたが,12世紀初頭の最盛期には,釉色の非常に美しい,象眼のないいわゆる翡色 (ひしょく) 青磁が作られた。

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世界大百科事典(旧版)内の秘色の言及

【越州窯】より

…その後,東晋以降は成形・釉調にも弛緩があらわれ,隋・初唐の7世紀にはまったく低迷してしまう。ところが,中唐の8世紀後半以後になって,再び隆盛過程をあゆみはじめ,晩唐から五代(9~10世紀)にかけて〈秘色(ひそく)〉とよばれた絶妙な青磁を完成するのである。北宋11世紀に入ると,しばらくは優位をたもっていたが,11世紀中ごろから台頭してきた浙江省南部の竜泉窯にその主流の座をうばわれ,12世紀以降は一地方窯に堕してしまった。…

※「秘色」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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