秩父巡礼道(読み)ちちぶじゆんれいみち

日本歴史地名大系 「秩父巡礼道」の解説

秩父巡礼道
ちちぶじゆんれいみち

秩父盆地に点在する三四ヵ所の観音霊場を巡る全長約八〇キロの巡礼道で、一部は秩父往還秩父甲州往還などを利用する。秩父三十四所は秩父三十四所観音霊場とも称され、西国三十三所と坂東三十三所の観音霊場を合せ日本百観音霊場を構成する。西国一番の和歌山県那智なち町の熊野青岸渡せいがんと寺から始まり、秩父三四番の皆野みなの水潜すいせん寺で結願する。西国・坂東が真言宗天台宗密教寺院名刹が多いのとは異なり、秩父の霊場は曹洞宗臨済宗の禅宗寺院が多く、小規模の寺院や堂からなっているのが特徴とされる。

秩父の霊場の成立は室町時代中期とされるが、観音霊場のなかには播磨国書写山円教えんきよう(現兵庫県姫路市)を開いた性空にかかわる伝承が残される所も多く、霊場の成立には一四世紀前半に同国三方西みかたのさい(現兵庫県波賀町)地頭となった中村氏が深くかかわっていたと考えるむきもある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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