日本大百科全書(ニッポニカ) 「秩父音頭」の意味・わかりやすい解説
秩父音頭
ちちぶおんど
埼玉県の民謡。埼玉県西部、秩父郡皆野(みなの)町を中心に歌われてきた盆踊り唄(うた)。その源流は新潟県の『越後甚句(えちごじんく)』で、三国(みくに)峠を越えて関東に入り、秩父にも伝えられた。栃木県の『日光和楽踊り』と同系の唄。秩父には秋の取り入れの前に、田の神に豊作を祈願する「豊年踊り」の風習があり、その際にこの唄を歌ってきた。その風習が廃れると、豊年踊りの時期が盆に近いことから、その唄を盆踊り唄として使うようになった。そこで歌詞にも手が加えられ、昭和の初めに保存会がつくられ、いまの形が完成した。それまでの『日光和楽踊り』に似た節回しをつくり直し、伴奏には秩父屋台囃子(ばやし)の手も入っている。
[斎藤 明]