家庭医学館 「稽留流産」の解説
けいりゅうりゅうざん【稽留流産 Missed Abortion】
妊卵(にんらん)(受精卵)や胎児(たいじ)が、すでに死亡しているのに、子宮内にとどまっている状態です。
稽留流産では、はっきりした自覚症状がありません。
[検査と診断]
妊娠がわかると、時間の経過とともに子宮は増大し、超音波検査で胎児の生存が確認されるようになりますが、稽留流産ではそれがみられません。
ふつうは、時間をあけた数回の診察をして、経過を観察した後に診断されます。
症状がないため、妊婦にとっては流産の診断を受け入れがたい場合もあります。
しかし、妊娠前期の超音波検査では、胎児の大きさや心拍の検出の可能な時期に個人差はなく、妊娠週数によってほぼ決まっており、数回行なった超音波検査で、予定どおりの発育や変化がみられない場合は、稽留流産と診断されます。
また、一度、胎児心拍を認めて、胎児の生存が確認された後に、あるいは超音波検査で明らかな胎児の画像がみられるにもかかわらず、胎児心拍や胎動が確認できない場合には、とくに、子宮内胎児死亡(しきゅうないたいじしぼう)と呼ばれることもあります。
[治療]
診断がついたら、早急に子宮内容物除去、清掃術を行ないます。ふつう、流産のときは子宮の頸管(けいかん)(出口)が広がってきますが、胎児の大きさや妊娠週数により、前もって子宮頸管拡張が必要な場合もあります。
また、妊娠中期で比較的大きくなってきている胎児を娩出(べんしゅつ)させるのに、子宮収縮剤を用いることもあります。