子宮内の胎児の運動をいう。従来は妊婦の胎動自覚(初産婦で妊娠20週ころから自覚する。そのころから胎児がよく動き出すようになるといわれていた)という主観的かつ間接的な認識に頼るものであった。しかし最近では,超音波電子スキャン法により,妊娠早期(妊娠10週ころ)から,胎児の運動そのものを直視下に見ることができるようになった。胎児は,羊水中を全身的に浮き沈みする状態からシーソー様運動,頭部・体幹の回転運動,呼吸様運動などを発育とともに示すようになる。一般に胎児の動きは,神経発育と中枢神経の完成につれて,しだいに統合のとれたものとなり,身体発育の順に,つまり,胎児の大きな部分から小さな部分への運動に移行し,手足の運動,指しゃぶり,べろ出し,あくび様運動,眼球運動を行うようになる。胎児と環境の関係,母児相互作用,胎児の神経学的発育等を知るための胎児行動の観察は今後,重要であり,胎動計の開発が試みられている。
執筆者:坂元 正一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
子宮内における胎児の運動をいう。妊婦は妊娠第20週ころから胎動を自覚するが、初産婦は気づくのがやや遅れる。最初は手の中の小鳥が羽ばたくような感じで、やがて胎児の手足で子宮壁を打つように感ずる。8か月ころから盛んになり、臨月になると羊水が少なくなり胎動も静まる。胎動は生理的なもので、1日に何回か胎動を感ずるのは胎児が元気な証拠であり、一時的に活発に動き回って、以後まったく感じなくなった場合には、診察を受ける必要がある。
最近では、超音波検査法によって妊娠第10週ころから胎動を観察できるようになり、胎児の発育に伴った運動が詳しく調べられ、早期診断上、重要視されている。
[新井正夫]
出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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