知恵蔵 「節税保険」の解説
節税保険
経営者や役員らが死亡した際などに保険金が支払われ、事業におけるリスクをカバーする。保険に加入すれば、場合によっては経営者らが支払った保険料の全額を会社の経費として計上できるため、法人税の課税対象となる利益を減らし、税負担を軽減できる。また、加入して一定期間後に解約すれば、支払った保険料の多くが解約返戻金として戻ってくる。返戻金は、経営者の退職金などの経費にあてれば、課税対象とはならない。
業界大手の日本生命保険が2017年4月、特定の期間に途中解約をすると、それまでに払った保険料の多くを返戻金として取り戻せる保険商品を売り出し、ヒットした。その後、他の生命保険各社も、相次いで同様の商品の販売に踏み切った。
経営者らが、生命保険の本来の役割である経営者の死亡時の補償よりも、中途解約による節税効果を重視して保険に加入する傾向もみられるため、金融庁は2018年6月、経営者向け保険の実態調査に乗り出した。生命保険各社が販売する商品の設計などに問題がないかを調べている。
(南 文枝 ライター/2018年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報