日本大百科全書(ニッポニカ) 「糖尿病療養指導士」の意味・わかりやすい解説
糖尿病療養指導士
とうにょうびょうりょうようしどうし
certified diabetes educator
糖尿病治療にもっともたいせつとされる自己管理(療養)を、医師とともに患者に指導する役割を担う医療専門スタッフ。略称CDE。アメリカなどで1970年代初めより、専門的な糖尿病療養指導と認定制度のあり方について検討が重ねられた。1985年にアメリカでCDEの資格制度が設けられ、1986年に第1回CDE試験が行われた。受験資格があるのは看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士、作業療法士、心理療法士、ソーシャルワーカーなどで、カナダ、オーストラリア、韓国などで同様の資格制度があり、受験資格に医師を加えている国もある。アメリカでは、AADE(American Association of Diabetes Educators、アメリカ糖尿病教育者協会)やADA(American Diabetes Association、アメリカ糖尿病学会)による患者教育用プログラムに基づいて、多くの医療機関で糖尿病患者教育が行われている。糖尿病患者への具体的な療養指導の内容は、患者がセルフケアを継続できるように、健康な食事をとり記録すること、歩くなど積極的な身体活動を行い記録すること、自覚症状に乏しい糖尿病のセルフモニタリング指導(血糖値や血圧などの自己測定)、服薬指導などである。アメリカでは、こうした糖尿病のセルフケアを地域ぐるみで推進しようとする、コミュニティ・ケアの観点からの取組みも盛んである。
なお日本では「日本糖尿病療養指導士(CDEJ)」の資格制度がある。
[編集部 2018年2月16日]