紡車(ぼうしゃ)、糸繰車(いとくりぐるま)、糸撚(いとより)車、早糸(はやいと)車とも称し、手で車を回転させながら、糸を紡いだり撚りかけをする道具。また緯(よこ)糸を管(くだ)に巻く管巻車(くだまきぐるま)(緯巻(よこまき)車)にも使用する。構造は一方の柱に竹製(木製のものもある)の大きな車を取り付け、他方には紡錘(つむ)を装置し、これを早糸で連結しておく。車を手で回転させながら短繊維の場合では牽引(けんいん)したのち撚りかけをし、誘導する手の位置を紡錘の軸と直角にして巻き取る。準長繊維(靭皮(じんぴ)繊維)では、すでに績(う)んであるから、糸車では撚りかけをし紡錘に巻き取るだけである。この車の大きさには大小2種あり、大きいものは麻、小さいものは木綿に使用したが、現在では混用している。地域的特徴は、関東地方のものは木製のものが多く、近畿地方のものは後ろ足がついて糸車全体が前方に傾斜している。中国地方以西のものは車が大きく、紡錘との距離が短い。
[角山幸洋]
出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報
…この方法を今も踏襲しているのが小千谷縮(おぢやちぢみ)の撚糸作りで,手代木を使い,飯茶碗を〈うけ〉に応用している。 この方法よりやや進歩したものが,機械による精紡機の発明までながく世界中で用いられてきた糸車あるいは糸繰車である。これは一方に大きな車を取りつけ,他方に錘を装置し,それをベルトで連結し,車を回すことによって錘をはやく回転させるように作った道具で,糸はこの回転している錘に,撚りがかかりながら巻き取られるのである。…
※「糸車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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