糸を紡ぐ装置で,〈つむぐるま〉〈つむぎぐるま〉とも呼ばれる。紡錘車より進歩したもので,インドで発明され,西アジアを経て中世にはヨーロッパにも普及したといわれているが,中国でも前100年ころには使用されていたようである。細い鉄の棒(紡錘車の回転軸に相当するつむ(紡錘))に小さな滑車をつけ,この軸が回転できるよう木製の台に水平に固定し,この滑車と別にとりつけた大きな滑車との間にひもをかけてある。大きな滑車を手で回して紡錘を高速で回転し,紡錘の先にとめてある繊維束を他方の手で軸方向に引っ張りながら撚り(より)をかける。その後で糸の方向を軸と直角にし,滑車を回して糸を巻き取り,以後これを繰り返す(繊維塊から繊維を引き出して繊維束を作りながら紡ぐこともできるが,あらかじめくしけずって繊維束を作っておくようになった)。図の左はジャージー紡車Jersey spinning wheelである。その後,中国では多錘型,足踏式へと発展し,ヨーロッパでは16世紀に足踏式のサクソニー紡車が考案された。これは現在のフライヤーと同様な原理で撚りをかけながら連続的に糸を巻き取るもので,すでにレオナルド・ダ・ビンチの手稿中にも描かれている。糸はフライヤーといっしょに回転し,1回転で一つの撚りがかかり,ボビンとの回転数の相違により糸が巻き取られる。サクソニー紡車ではフライヤーの突起を利用して手で糸の位置を変え,レオナルド・ダ・ビンチのものは手回しであるが,同時に2錘を動かし,レバーが自動的に移動して巻き取る位置を変える。日本では明治の初めまで初期の紡車が広く使用された。
執筆者:近田 淳雄
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…その後で糸の方向を軸と直角にし,滑車を回して糸を巻き取り,以後これを繰り返す(繊維塊から繊維を引き出して繊維束を作りながら紡ぐこともできるが,あらかじめくしけずって繊維束を作っておくようになった)。図の左はジャージー紡車Jersey spinning wheelである。その後,中国では多錘型,足踏式へと発展し,ヨーロッパでは16世紀に足踏式のサクソニー紡車が考案された。…
…その後で糸の方向を軸と直角にし,滑車を回して糸を巻き取り,以後これを繰り返す(繊維塊から繊維を引き出して繊維束を作りながら紡ぐこともできるが,あらかじめくしけずって繊維束を作っておくようになった)。図の左はジャージー紡車Jersey spinning wheelである。その後,中国では多錘型,足踏式へと発展し,ヨーロッパでは16世紀に足踏式のサクソニー紡車が考案された。…
※「紡車」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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