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紙治物 かみじもの

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

紙治物
かみじもの

三味線音楽の曲の分類用語。大坂天満の紙屋治兵衛と曾根崎新地の遊女小春との心中事件を題材とする曲の総称。下記の (1) を原拠とする。 (1) 義太夫節『心中天の網島 (あみじま) 』 通称『天網島』『紙治』。世話物,三段。近松門左衛門作。享保5 (1720) 年 10月の心中事件をただちに脚色,12月大坂竹本座初演。 (2) 上記の増補改作『双扇長柄松 (ふたつおうぎながらのまつ) 』 並木永輔ら6人の合作,宝暦5 (1755) 年豊竹座上演。再改作『心中紙屋治兵衛』は近松半二,竹田文吉の合作,安永7 (1778) 年大坂北新地芝居初演。以後,これがさらに増補されて『増補天網島』の名で行なわれ,また,歌舞伎に移入されて『天網島時雨炬燵 (しぐれのこたつ) 』と呼ばれる。『河庄 (かわしょう) 』『炬燵』などの通称は段の呼び名。 (3) 一中節『小春髪結之段』 別称『黒髪』。近松門左衛門が (1) とは別に1世都太夫一中の素浄瑠璃のために作詞。享保年間作曲。 (4) 地歌の繁太夫物『紙屋治兵衛』 略称『紙治』。宝暦から明和の頃,富岡検校作曲。歌詞は (1) の一部分。『紙治茶屋場』『小春髪梳 (かみすき) 』『名残の橋尽し』の3部よりなる。 (5) 宮薗節『小春治兵衛炬燵の段』 略称『小春』。原題『情の二重帯 (なさけのふたえおび) 』。詞章はだいたい (1) の一部分。明和末,安永初年頃,1世宮薗鸞鳳軒作曲。 (6) 富本節『道行野辺の書置』 天明4 (1784) 年江戸市村座初演。2世富本豊前太夫の語り。歌舞伎狂言『紙治』の道行。以下 (7) (8) も同様。 (7) 富本節『道行恋の橋尽し』 寛政 10 (1798) 年江戸桐座初演。 (8) 富本節『道行誓 (ちかい) の網島』 享和3 (1803) 年市村座初演。 (9) 一中節『天網島』 文化年間1世菅野序遊作曲。

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