小春(読み)コハル

デジタル大辞泉 「小春」の意味・読み・例文・類語

こ‐はる【小春】

初冬の、穏やかで暖かい春に似た日和が続くころ。また、陰暦10月の異称 冬》「ふりわけて片荷は酒の―かな/竜之介
[類語]常春春暖

しょう‐しゅん〔セウ‐〕【小春】

陰暦10月の異称。こはる。「小春の候」

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精選版 日本国語大辞典 「小春」の意味・読み・例文・類語

しょう‐しゅんセウ‥【小春】

  1. 〘 名詞 〙 陰暦一〇月の称。こはる。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「竹間驀地歌簧発。怪得元来是小春」(出典:済北集(1346頃か)四・十月聞鶯)
    2. 「小春に桜花咲たるを見て 根計か枝に二度かへり花〈慶友〉」(出典:俳諧・犬子集(1633)六)
    3. [その他の文献]〔荊楚歳時記〕

こ‐はる【小春】

  1. 〘 名詞 〙 冬の初めの、春に似た温暖な気候。転じて、陰暦一〇月の異称。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「十月は小春の天気、草も青くなり、梅もつぼみぬ」(出典:徒然草(1331頃)一五五)

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改訂新版 世界大百科事典 「小春」の意味・わかりやすい解説

小春 (こはる)

邦楽曲の曲名。小春は大坂曾根崎新地,紀伊国屋遊女。1720年(享保5)10月14日天満お前町の紙屋治兵衛と,網島大長寺のほとりで情死した。これを脚色した人形浄瑠璃が,近松門左衛門作の《心中天の網島》で,その女主人公の名としても,実名のまま用いられている。上述の浄瑠璃に基づいたり,これに類して作られた他の浄瑠璃の曲名の略称として《小春》は用いられる。(1)宮薗節の《小春治兵衛炬燵(こたつ)の段》。《宮薗鸚鵡石(みやぞのおうむせき)》には《情の二重帯》と題する。小春は登場せず,詞章は《心中天の網島》中の巻のおさんの恨み言,治兵衛の告白,おさんの打ち明け,心配り,悶えという急展開の場をほとんどそのまま抜き出したもの。1770年ころ(明和末~安永初)宮薗鸞鳳軒作曲。柔らかな調子で情緒纏綿女心を語る。(2)一中節《小春髪結》。近松が初世都太夫一中のために詞章を作ったと伝える。小春が治兵衛との心中を決意したのを察して髪結お綱が意見する筋。これを地歌の繁太夫物としたものに,《髪梳き》(《黒髪》とも)がある。
髪梳き →黒髪 →心中天の網島
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普及版 字通 「小春」の読み・字形・画数・意味

【小春】しようしゆん

こはる。

字通「小」の項目を見る

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デジタル大辞泉プラス 「小春」の解説

小春

コトブキ製紙が販売するちり紙の商品名。1200枚入り。

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世界大百科事典(旧版)内の小春の言及

【心中天の網島】より

…大坂網島大長寺の心中事件を脚色した際物(きわもの)であるが,近松世話悲劇の傑作。大坂天満の紙屋治兵衛と曾根崎新地の遊女小春は深い仲になっていたが,治兵衛にはおさんという女房があり,2人の子までいる。治兵衛と小春は死ぬ約束をしており,2人はその機会をうかがっている。…

※「小春」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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