実数xに対してπ(x)でp≦xとなる素数pの個数を表すことにする。例えば,π(10)=4,π(100)=25,……,π(100000000)=5761455である。xが増大するとともにπ(x)は増大していくのだが,その増大の程度がx/log xであるということ,正確にいうと,であるというのが素数定理である。素数の現れ方がきわめて不規則であることを思えば,注目すべき事実といわなければならない。これは,C.F.ガウスによって予想されたが,約100年後の1896年にJ.アダマールとド・ラ・バレ・プーサンC.de la Vallée Poussinによりほぼ同時に証明された。π(x)がG.F.リーマンのゼータ関数,と密接に関係しているというリーマンの深い着想と,一変数解析関数論の発展とによって証明されたものである。1949年にはセルバーグA.Selbergによって一変数解析関数の理論を用いない初等的な証明が与えられた。
執筆者:斎藤 裕
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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