紬糸紡績(読み)ちゅうしぼうせき

改訂新版 世界大百科事典 「紬糸紡績」の意味・わかりやすい解説

紬糸紡績 (ちゅうしぼうせき)

絹の真綿を手で紡いで糸にすることをいう。こうして作った紬糸(つむぎいと)を経(たて)・緯(よこ)に使って,無地,絣(かすり)模様,縞(しま)に織ったのが紬である。茨城県結城(ゆうき)市および栃木県小山市をそれぞれ中心とする地域で生産される結城紬は,経糸に180~210デニール,緯糸に110~120デニールくらいの太さの紬糸を使い,縞または絣模様に織った平織の着尺地である。綿織物のように見えるが,絹独特の底光りがするので,高級な着物地,羽織地として好まれる。絣地を作るための染色は,染め残す部分を糸でくくって染液につける括染(くくりぞめ)が使用され,紺,緑,焦茶,黄系統の渋みのある色である。紬糸は,絹のくず繊維を綿紡織と同様の方法で紡績する絹紡紬糸(けんぼうちゆうし)とは異なる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「紬糸紡績」の意味・わかりやすい解説

紬糸紡績
ちゅうしぼうせき

絹糸紡績法の一種。絹糸紡績でできた屑糸や低級原料などを利用する再生紡績法で,副製紡績とも呼ばれる。原料にはブレット (梳綿屑〈そめんくず〉) や毛羽 (けば) ,絹紡糸屑などを用いる。 (1) 混綿 紡出番手に応じ,各原料および紡績油などを混合,均一化する。 (2) 梳綿 混合原料を必要糸番手に合せてうどん状とする。 (3) 紡糸 ミュール精紡機またはリング精紡機に掛けて糸をつくる。以上の工程を経て,紬糸 (つむぎいと) ができる。紬糸は種々のファンシーヤーン (飾り糸) をつくるのに用いる。

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