経営行動(読み)けいえいこうどう(その他表記)administrative behavior

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経営行動」の意味・わかりやすい解説

経営行動
けいえいこうどう
administrative behavior

1945年に刊行された H.A.サイモン処女作副題に「経営組織における意思決定プロセスの研究」とあるように,これまで顧みられることの少かった組織の内部焦点をあて,組織の動きをその成員の意思決定の相互の影響関係として定式化し,近代組織理論の基礎を提供した。この点で名著『経営者の役割』 The Functions of the Executive (1938) を著わした C.I.バーナード発想を継承しているといえよう。組織を個人への誘因と個人からの貢献の均衡現象として捉えようとする基本思想根底には,均衡論から一般に想像される完全合理性ではなく,人間の認知能力を限界づけられたものとみなす「限定された合理性」の考え方がある。のちにサイモンは心理学,コンピュータ科学など多方面にわたって活躍するが,その多彩な知的活動は,人間の問題解決法への関心という点で一貫しており,本書はそうした彼の思想の原型をなしている。

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世界大百科事典(旧版)内の経営行動の言及

【サイモン】より

…さらにサイモンは,組織における人間行動を説明するには,社会学における行為や役割といった概念では不十分であり,より分析単位を小さくした個人の意思決定前提にまでつめる必要があると主張した。このような考え方は,C.I.バーナード理論を継承発展させた《経営行動》(1945),およびそれまでの組織理論を統合した《組織》(1958)に表されている。【野中 郁次郎】。…

※「経営行動」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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