経済学の理論(読み)けいざいがくのりろん(その他表記)Theory of Political Economy

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「経済学の理論」の意味・わかりやすい解説

経済学の理論
けいざいがくのりろん
Theory of Political Economy

W.S.ジェボンズ著。 1871年刊。 70年代初頭限界効用理論に立脚する価格理論がイギリス,オーストリア,フランスで同時的に展開されたが,そのイギリスにおける代表作。ジェボンズは,当時の正統派として君臨していた J.S.ミルの生産費価値論に反対して,みずからの書物を「快楽苦痛微分積分学」と称し,交換方程式によって表わされる交換比率決定の理論を提示した。2人の主体が2つの財を交換する場合,交換比率はそれぞれの限界効用の比に等しくなるように決定されるというものである。ジェボンズは,快楽の計算機として人間をとらえる功利主義思想効用関数という概念を通じて導入すると同時に,数学を経済学に導入し均衡の諸相のもとに交換現象を明らかにしようとするニュートン力学に基づく科学観を経済学にもたらした。

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世界大百科事典(旧版)内の経済学の理論の言及

【ジェボンズ】より

… 1866年にマンチェスターのオーエンズ・カレッジの教授職について以降,該博な数学的・科学的知識に基づいて,現代の数理論理学,確率論,科学哲学などにつながる諸著作をつぎつぎと発表した。経済学の分野では,主著《経済学の理論》(1871)において相対売買における価格形成の原理を限界効用分析の形で整理するなど,近代経済学ないし新古典派経済学の始祖の一人とされている。そのほか穀物収穫の豊凶を太陽黒点数の変動と関連づけようとした研究もある。…

※「経済学の理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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