労働者階級が経済状態の改善のために行う闘争。一般に政治闘争と対比される。広くは,失業,疾病,老齢,死亡の際に相互に共済しあう活動などもこれに含まれるが,中心は,賃金をはじめとする労働条件の維持・向上のために資本家に対して行う闘争である。このような闘争は,自分の労働力を資本家に販売し,その統轄下で労働することを日常の営みとする労働者の自己防衛闘争として,資本主義の発生とともに自然発生的に行われてきたのであり,労働組合運動もこの闘争を中心的機能とする組織として発展してきたのである。しかし,経済闘争はそれが拡大すると法律や権力による各種の制約とぶつかるので,政治闘争と結合せざるをえない。とくに政治と経済が癒着した現代の国家独占資本主義のもとでは,労働条件や生活条件に国家の政策の影響するところが大きくなるので,経済闘争と政治闘争はますます区別しがたくなってくる。
執筆者:上井 喜彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…労働者は労働条件,生活条件を維持・向上させるため資本家に対して経済闘争を行うが,経済闘争は,それが深化・拡大すると法律や権力による各種の制約とぶつかるので,資本制国家に対する政治闘争へと発展せざるをえない。こうしたことから,経済闘争を基礎的機能とする労働組合も政治闘争を行わざるをえない。…
※「経済闘争」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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