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労働時間 ろうどうじかんworking hours

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働時間
ろうどうじかん
working hours

労働者が使用者のために実際に労務を提供している時間をいい,勤務時間,就業時間ともいう。労働基準法にいう労働時間は,休憩時間をのぞく実働時間をさす。使用者の指揮命令下にあるかどうかが労働時間判定のポイントであり,いわゆる手待ち時間や作業前後の準備・整理などの時間も,労働者が自由に離脱できない以上は,使用者の指揮下にあるものとして労働時間とみなされる。また出張や事業場外における業務など労働時間が算定しがたい場合は,使用者の特段の指示がないかぎり,通常の労働時間を就労したものとみなされる (労働基準法施行規則 22) 。労働時間については,19世紀後半以降1日8時間制が労働運動の世界的な目標になり,1919年第1回国際労働機関 ILO総会は1日8時間,週 48時間制を第1号条約として採択,62年には週 40時間への短縮を社会的目標とする勧告を採択した。日本では 47年制定の労働基準法ではじめて1日8時間,週 48時間制を規定 (32条) ,88年施行の改正労基法で週 40時間 (完全週休2日制) への段階的短縮 (32条,附則 131条) を盛込んだ。

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デジタル大辞泉の解説

ろうどう‐じかん〔ラウドウ‐〕【労働時間】

労働する時間。
労働者が労働に従事する時間。休憩時間を除き、1日8時間、1週40時間を超えないことを原則とする。

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ナビゲート ビジネス基本用語集の解説

労働時間

労働時間とは、会社(使用者)の指揮監督下にある時間を意味し、拘束時間から休憩時間を引いた実働時間をさす。 労働時間には、法定労働時間所定労働時間がある。法定労働時間とは、労働基準法が規定している労働時間のことで、1日8時間、1週40時間と定められている。これに対し所定労働時間とは、それぞれの企業が就業規則などで規定している労働時間のことで、各企業は法定労働時間を超えない範囲であれば独自に労働時間を決めることができる。

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世界大百科事典 第2版の解説

ろうどうじかん【労働時間 hours of work】

労働は人間という生物に独自の目的的生命活動として,人類史とともに古くからのものである。しかし労働の時間的長さが社会問題となるのは,近代の自由な賃金労働制度のもとにおいてである。そこでは人間の生命活動が他人の指揮命令のもとで他人の所有に帰する生産物をつくるための労働過程と,自己の自由な行為としての消費過程とに二分され,前者は後者の費用=賃金収入獲得のための単なる手段となる。労働時間は労働力商品購入者=資本家利潤源泉として延長される傾向におかれ,その傾向は労働者の肉体的あるいは文化的消費行為の時間=生活時間圧縮・貧困化とそれへの反発・抵抗を生む。

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大辞林 第三版の解説

ろうどうじかん【労働時間】

労働者が実際に労働する時間。労働基準法では、一週間40時間1日8時間を超えないことを原則とする。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働時間
ろうどうじかん
hours of work英語
Arbeitszeitドイツ語

一般的には、労働に従事している時間。資本主義社会のもとでは、賃労働者は資本家に自己の労働力を時間決めで販売をし、資本家の指揮・監督のもとで労働に従事する。したがって、資本主義社会においては、労働者が資本家の指揮・監督下において労働に従事する時間のことをいう。これには休憩時間は含められない。なお、労働時間と休憩時間をあわせた時間は拘束時間といい、この拘束時間と対比する意味で労働時間のことを実労働時間(実働時間)とよぶ場合がある。[湯浅良雄]

時短運動と工場法

資本主義社会においては、資本家は激しい競争戦に勝ち抜くため、労働時間をできる限り延長し、剰余価値の拡大に努める。他方、労働者にとっては、労働時間が無制限に延長されるならば、人間らしい文化的な生活が営めないばかりか、精神的・肉体的荒廃が著しく進行せざるをえない。それゆえ、資本主義社会の確立以来、労働時間の限界をめぐって、資本家と労働者は激しく対立してきた。とくに、資本主義の初期の時代には、無制限に労働時間が延長されたため、時間短縮(時短)を求める労働運動が高揚し、この結果、標準労働日を定めた工場法が制定された。他方、労働時間が制限されると、資本家は制限された時間内において、より多くの剰余価値を獲得するために、労働強度の引き上げを追求した。このため、労働者はよりいっそうの時間短縮を求めて運動を強化したため、標準労働日は1日10時間、9時間、8時間、週の労働時間数は48時間、46時間、44時間、40時間というように歴史的に短縮されてきた。[湯浅良雄]

日本の長時間労働

第二次世界大戦前の日本においては、有効な工場法が制定されず、長時間労働が事実上野放しにされてきた。第二次世界大戦後制定された労働基準法(略称労基法、昭和22年法律49号)は、その第32条において、1日8時間、週48時間労働の原則(1999年4月より週40時間労働の原則)を定めるとともに、週休日、休憩時間、時間外労働、休日出勤(休日労働)、年次有給休暇(有給休暇)などを最低基準として法制化した。この労働基準法は、第二次世界大戦後の経済の民主化のもとで、日本の労働時間をできる限り当時の国際水準に近づけようとしたもので、第二次世界大戦前のきわめて不十分な工場法と比較すると、日本の労働法史上画期的な意義をもつものであった。
 この労働基準法の基礎上で、高度成長期には日本の労働時間は多くの問題点をはらみながらも、徐々に短縮されてきた。しかし、ほかの先進諸国と比較するならば、日本では長期にわたって長時間労働が固定され、先進資本主義国のなかで年間労働時間が2000時間を超える唯一の国であった。その理由を以下にあげる。
(1)法的規制や労働協約の水準が長期にわたって低く、所定内労働時間自体が長い。ちなみに、ほとんどの先進諸国では、早い時期に法律か労働協約によって週40時間制を確立している。また、フランスでは1999年に週35時間法が成立し、翌2000年から施行された。
(2)有効な時間外労働の規制がなく事実上野放しになっている。時間外労働を規制するには、法律によってその最高限度を規制する方法と、高額の割増し賃金を課すことによって規制する方法がある。日本の場合、労働基準法には最高限度を定めた条項がなく、三六(さんろく)協定(労働基準法第36条。残業協定ともいう)を締結しさえすれば事実上無制限に時間外労働を行うことができるようになっている。また、割増し賃金も最高25%(1993年改正で25~50%)で、国際的にみてきわめて低い水準にある。
(3)週休2日制の形態が不完全であるとともに、その普及水準が低かった。
(4)年次有給休暇の給付日数が少なく、またその取得・消化率が低い。第二次世界大戦後、先進資本主義諸国では週休2日制を基礎に週40時間制を確立すると、年次有給休暇の拡大に運動が集中された。現在、ほとんどの国で4週間以上の年休が制度化され、スウェーデン、デンマーク、フランス、ルクセンブルクでは、5労働週が最低年休として法で定められている。[湯浅良雄]

労働基準法の改正問題

総じて、日本の長時間労働は、第二次世界大戦後40年もの間、労働基準法が改正されず、国際水準から著しく立ち後れていたこと、さらに企業別組合のために労働協約も有効な役割を果たせずにいたことが原因であった。
 日本の長時間労働はその低賃金と結合することによって、日本の企業に国際的にみて不当に高い競争力を保証してきた。それゆえ、日本の輸出品がアメリカやEC(現EU)諸国に氾濫(はんらん)し、貿易摩擦が激化すればするほど、日本の長時間労働に対する外国からの批判が激しく展開されるようになった。このようななか、1987年(昭和62)9月「労働基準法の一部を改正する法律」が成立した(88年4月施行)。改正の骨子は、週40時間制を法定労働時間の短縮目標として法律に明記したことであるが、この「労基法の改正」においては、すぐには週40時間労働制の実現は困難であるとして、暫定的な法定労働時間を法令により定めるという規定が盛り込まれた(附則第131条)。ちなみに法令では、91年(平成3)3月までは週46時間労働、4月以降は週44時間にすることが定められた。
 1992年(平成4)6月に策定された長期経済計画「生活大国五か年計画」(1992年度から97年度まで)は、計画中に年間総労働時間を1800時間に短縮することを中心目標の一つとして掲げた。こうしたなか、93年6月に「労働基準法及び労働時間の短縮の促進に関する臨時措置法の一部を改正する法律」が成立し、週44時間を定めた暫定措置が廃止され、94年4月から97年3月まで原則的に週40時間労働が実施されることになった。ただし、中小企業や特定業種に対しては週44時間制の猶予措置が設けられた。
 97年4月以降は、一部特定業種を除き、週40時間制が全面的に適用されるようになった。また、98年9月の改正では、女性の時間外労働(年間150時間)、深夜業(午後11時以降)の制限が撤廃された。これにより、女性も午後11時以降の残業が可能になったわけだが、母親の帰宅時間が遅くなるなど、家での環境に変化が現れる。そこで、介護・小学校就学前の子の育児に携わる女性については、環境の激変緩和措置として、残業上限を一定期間は年間150時間とした。変形労働時間制(労働基準法で定められた最長労働時間の例外措置)については、変形期間が3か月以上の場合の労働時間の上限が1日10時間、1週52時間に延長された。
 以上のように、1987年(昭和62)の労基法の改正以来、日本の労働時間は若干改善され、深刻な不況の影響もあるが、92年(平成4)には年間総労働時間が1958時間となり、初めて2000時間を切った。その後、98年には1879時間、99年には1842時間(2000年2月段階での速報値)になった。しかし、なお目標の1800時間には到達しておらず、依然として年間1600労働時間の水準にあるドイツやフランスとは大きな格差がある。[湯浅良雄]
『藤本武著『世界からみた日本の賃金・労働時間』(新日本出版社新書) ▽山本潔著『日本の賃金・労働時間』(1982・東京大学出版会) ▽基礎経済科学研究所編『労働時間の経済学』(1987・青木書店) ▽山本吉人著『労働時間』(1995・有斐閣) ▽大須賀哲夫・下山房雄著『労働時間短縮』(1998・お茶の水書房) ▽労働省労働基準局著『労働時間実務事典――よくわかる解釈と運用のすべて』(1999・労務行政研究所)』

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世界大百科事典内の労働時間の言及

【ILO】より

…そこにはILOの基本原則として,(1)〈労働は商品ではない〉(労働非商品説),(2)〈一部の貧困は全体の繁栄にとって危険〉(連帯性の原則),(3)永続する平和の基礎は〈社会的正義〉(経済優先主義の否定),(4)労働者代表,使用者代表,政府代表の平等参加(三者構成の原則)の四つの労働哲学が明示された。さらに具体的には,〈ILOの厳粛な義務〉として,完全雇用と生活水準の向上,雇用の確保,職業訓練と労働移動の便宜供与,最低賃金・労働時間などの労働条件の改善,団体交渉権と労使協力,社会保障,生命と健康の保護,児童の福祉と出産保護,栄養・住宅およびレクリエーション,教育と職業の機会均等の10項目の促進が掲げられた。
[機構]
 ILOの内部機構として,まず国際労働総会,理事会,国際労働事務局(その略称もILO)がある。…

【休日】より

…【三好 洋子】
【産業革命と週休制度の確立】
 ところで産業革命,つまり資本制大工業による社会的生産の制覇は,自然的条件と宗教的慣行により規定されていた労働と休養・余暇の間の従来の時間的関係をも大きく変革した。一定量の資本からできるだけ多くの利潤を獲得しようとする資本家的動機に由来する労働時間の延長が,機械制大工業の労働様式そのものによって可能とされたからである。イギリスについていうならば,その絶対王政が強権をもって実現しようとしてできなかった12時間労働は,産業革命によってたやすく現実のものとされ,さらにそれを超えてときには18時間労働という事例さえあらわれた。…

【産業革命】より

…悲観説・楽観説両派による〈生活水準論争〉は泥沼化して決着がつかないが,論争の過程で,たとえば次のような変化の実態はしだいに明らかになってきている。工場労働における低賃金と労働時間の長さが同時代にもしきりに問題にされたことは,12時間労働を規定した1833年の工場法などをみれば明らかである。また初期の工場法が婦人労働と児童労働をとくに保護の対象としたことも事実である。…

【時間外労働】より

…労働保護立法または労働協約の定める標準労働時間(労働時間)を超える労働。1日の所定時間を超える残業・早出と,休日出勤とがある。…

【生活時間】より

…賃金労働者の場合,前者はK.マルクスのいう〈疎外された労働〉の時間であり,資本家の指揮命令に従う不自由な時間となる。後者は,労働者がどう使おうが自由な時間であるが,まず全時間から労働時間を差し引いた残余を超えられないという量的限定があり,さらにそのなかで生理的欲求と文化的欲求を必ず充足せねばならない。労働時間の延長はまず文化的時間の圧縮を,ついで生理的時間の圧縮をもたらす。…

【労働】より

…ここでは労働の性格は職人的要素をとどめているけれど,仕事自体が全体のシステムの中のきわめて細部の機能を担う点は変わらないので,やはり個々の労働の生産への貢献は抽象的である。現実の生産の質と量を決定するのは機械システムの状態と稼働時間であるから,機械の稼働時間とほぼ一致する労働者の拘束時間,すなわち労働時間だけが,労働と生産をつなぐ具体的な尺度となる。こうして,一方では労働は個人の能動的活動にひきつけてとらえられていきながら,他方労働と生産のつながりを問う局面では,それはますます抽象的な社会的に平均化された,時間で計測される量としてとらえられるようになるのである。…

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