絵梨地(読み)えなしじ

精選版 日本国語大辞典 「絵梨地」の意味・読み・例文・類語

え‐なしじ ヱなしヂ【絵梨地】

〘名〙 漆芸表現法一つ梨地器物一面あるいは蒔絵以外の部分に施すが、これは蒔絵の模様中に梨地を用いたもの。花や葉の一部を金蒔に、一部を荒い粉の梨地で表わし、色彩効果を示す。桃山時代におこり、いわゆる高台寺蒔絵特色をなす。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「絵梨地」の意味・わかりやすい解説

絵梨地
えなしじ

蒔絵技法名称。梨地は本来は蒔絵の下地として作られる。黒や朱の漆を塗った上に金粉をあらく蒔き,乾燥後さらに透明な漆を塗る。金粉が漆を透かして見え,梨の肌に似ているところからこの名がある。鎌倉時代から始る。絵梨地はこれを蒔絵の文様中に応用したもので,安土桃山時代に興った。高台寺蒔絵に多くみられ,平蒔絵なかに絵梨地が配され色彩効果をあげている。

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世界大百科事典(旧版)内の絵梨地の言及

【蒔絵】より

…塵地は研ぎ出さずに上塗の上に粗い粉を淡く蒔き付けただけのもの。(3)上絵 平蒔絵,高蒔絵,絵梨地,付書(つけがき),木地蒔絵,蒔きっぱなし,練書(ねりがき)などがある。平蒔絵は普通は絵漆(弁柄(べんがら)を練り込んだ漆)で絵を描き,細かな粉(平極粉)を蒔き付けて磨いたもの。…

※「絵梨地」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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