絵絹(読み)えぎぬ

精選版 日本国語大辞典 「絵絹」の意味・読み・例文・類語

え‐ぎぬ ヱ‥【絵絹】

〘名〙 日本画をかく時用いる画布平織生絹(すずし)で、普通白色。にじみ止めに礬水(どうさ)を引く。中国では古く紙の発明以前にあり、日本でも平安時代仏画に見られる。
雍州府志(1684)七「絵絹(エきぬ)絵之白絹也」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「絵絹」の意味・読み・例文・類語

え‐ぎぬ〔ヱ‐〕【絵絹】

日本画を描くのに用いる平織りで薄地絹織物。にじみ止めに礬水どうさをひいて用いる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「絵絹」の意味・わかりやすい解説

絵絹
えぎぬ

日本画の素地に使用するための糸密度均整で平均し、緻密(ちみつ)に織られた平織の絹織物。歴史的には時代によって密度や織り幅に特徴がみられ、時代判定の参考とされている。製織には、濡(ぬ)れ緯糸(よこいと)を使用するのが特徴である。現在では、1尺(30.3センチメートル)の小幅から5尺くらいの織り幅までを、岐阜県各務原(かかみがはら)市で製織している。また絵絹は、絵の具をはじくので膠(にかわ)にミョウバンを加えて水で溶いた礬水(どうさ)を引いて用いられ、また絵絹を使用した絵画絹本(けんぽん)とよんでいる。

[角山幸洋]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android