緊急失業対策法(読み)きんきゅうしつぎょうたいさくほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「緊急失業対策法」の意味・わかりやすい解説

緊急失業対策法
きんきゅうしつぎょうたいさくほう

昭和 24年法律 89号。失業者救済を目的とする法律。日本の失業対策は,公共事業に従事させる形で,1925年東京などの六大都市において始められた。第2次世界大戦後も,公共事業の建設復旧を目的とするものと,失業救済を目的とするものに分け後者についての計画実施の方法およびそれによる失業者吸収のための措置などについて規定したものである。 64年には,労働力不足現象の強まりに応じて,技術水準の高度化に対応しうる若年層と,必ずしもそうではない中・高年層に2分した取扱いをしうるよう改正された。なお雇用政策の計画的,総合的な推進をはかるために,66年には雇用政策の基本法として雇用対策法が制定されている。

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百科事典マイペディア 「緊急失業対策法」の意味・わかりやすい解説

緊急失業対策法【きんきゅうしつぎょうたいさくほう】

1948年暮から始まった企業整備に伴う大量失業者の発生に対処して作られた法律(1949年)。国または国庫補助による地方公共団体が実施する失対事業一定手続を経て失業者を吸収する方法と,公共事業の事業種別により,職種別または地域別に比率を定めて失業者を紹介する方法とがある。→失業対策事業

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世界大百科事典(旧版)内の緊急失業対策法の言及

【失業対策事業】より

…歴史的にはイギリスにおける1886年のチェンバレン通達が失対事業の最初であり,日本では1917年に六大都市が初めて失対事業を実施した。 現行の失対事業は,ドッジ・デフレ下の大量人員整理に対処するために1949年に制定された緊急失業対策法に根拠をもつ。同法では,事業種目を労働力を多数吸収しうる単純な屋外作業に限り,賃金は速やかに再就職を行うよう一般より低く抑えられた。…

【労働法】より

… まず雇用政策に関する法律については,公共の職業紹介による労働力需給の調整と労働力取引の公正化を図り(職業安定法。1947公布),失業中の生活保障を行う(1947年公布の失業保険法は後に改正され,74年には雇用保険法となり積極的な失業防止策がとり入れられた)と同時に政府みずからが公共事業を行って雇用を創出する(緊急失業対策法。1949公布,1996廃止)など,比較的後見的補助的な政策から,しだいに企業に対し身体障害者等条件の不利な人を一定の割合で雇用することを求め,奨励金を支給し(1960年の〈身体障害者雇用促進法〉(1987年〈障害者雇用促進法〉と改称),71年の〈中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法〉(1986年〈高年齢者等の雇用の安定に関する法律〉と改称),72年の〈勤労婦人福祉法〉(1985年雇用機会均等法に改称)),総合的な雇用に関する需給の調節を通じて完全雇用を目ざし(雇用対策法。…

※「緊急失業対策法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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