緑地植物(読み)りょくちしょくぶつ

改訂新版 世界大百科事典 「緑地植物」の意味・わかりやすい解説

緑地植物 (りょくちしょくぶつ)

造園植物にさらに自然公園のような自然植生のなかで景観構成に重要な役割をもつ植物,または自然保護の対象となる保護管理上重要な植物,さらに国土開発に伴って生じた裸地を緑化復元する緑化工の材料として用いられる植物などが加わったものの総称である。したがってその内容は庭園植物,公園植物,都市植物,緑化工用植物,景観構成植物に分けられる。緑地植物の場合,造園植物のように植栽の場がある限定された場という枠から脱け出して,開かれた空間が対象となる。そこで植物も個々のものから群落を中心に考えるようになり,植物生態学,植物社会学的な思考がとり入れられ,植物相互間,植物と環境との関係が大きな問題となってくる。さらに,生育環境の厳しい場所で,いかにして緑化をはかるかという問題もでてくる。また,大規模な緑化では,土木,建築などの分野とも関係が深くなる。植栽に際して土壌改良を必要とすることが多くなり,植栽基盤の安定にも土木・建築的工法が使われるようになる。使用植物も当初目的種類と異なるものを先駆植物として用い,遷移により植生を移行させることも考えられ,そのために使用植物は造園植物のように形質の優れたものであることを要しない。緑地植物の管理においても,大規模な場合は生態的管理を行い,植生を好ましい状態に維持または移行するように考えられている。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語 文雄 北村

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む