家庭医学館 「骨嚢腫」の解説
こつのうしゅ【骨嚢腫 Bone Cyst】
骨腫瘍類似疾患(こつしゅようるいじしっかん)(骨腫瘍(こつしゅよう)によく似た病気)の1つです。骨腫瘍類似疾患のなかでは、もっとも発生数の多い病気であり、内軟骨腫(ないなんこつしゅ)(「内軟骨腫」)とほぼ同数の発生がみられます。
よくおこる部位は、上腕骨(じょうわんこつ)の上端(肩近く)と、大腿骨(だいたいこつ)(ももの太い骨)の上端(骨盤(こつばん)近く)です。また、踵骨(しょうこつ)(かかとの骨)にも発生します。
この病気が発生しやすい年齢は、10歳代で、ついで10歳未満となっています。
[症状]
骨の内部の骨髄(こつずい)に、広い範囲にわたって骨組織の破壊がおこり、それによってできた空洞(くうどう)の内部に黄色の液体がたまります。
骨皮質(こつひしつ)(骨の外側をおおうかたい部分)が薄くなり、かんたんに骨折をおこすようになります。
これは、小さな外力で生じた病的骨折なので、急に激痛を感じて病院を受診し、骨嚢腫と診断される場合がしばしばあります。
ふつうは、症状が現われないことが多いのですが、まれに痛むこともあります。
[治療]
病的骨折をおこす危険性があまりなければ、そのまま経過を観察するのも1つの方法です。
治療としては、骨の空洞内に、炎症を抑えるステロイド薬(副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬)を注入する方法、空洞内の液体を排出して内圧を下げるためにドレーン(管)を設置する方法など、いろいろな方法が行なわれています。
手術療法としては、空洞の内壁をおおう膜組織(まくそしき)をかきとった(掻爬(そうは))あとに、骨移植を行ないますが、再発することもあります。
しかし、病的骨折のあと、自然に治ることもあります。
いずれにしても良性の病気なので、心配はありません。