練切りあん,練切物の略で,和菓子の一種の呼称。白あんにぎゅうひあるいは,蒸したヤマノイモを裏ごししたものを加え,砂糖を入れ,着色するなどして練り上げたのが練切りあんで,それを主材料としてつくったものが練切物である。いわゆる上生菓子を代表するもので,意匠をこらし,風雅な菓銘をつけて茶席にも多く用いられる。練切りに似たものに,こなし,きんとんがある。こなしは白あんに小麦粉などを混ぜて蒸し,砂糖をもみまぜたもので可塑性があり,いろいろに着色して使用する。きんとんはいろいろに染めた練切りあんをそぼろにしたもので,以上の練切り,こなし,きんとんは相互に配合されて,味も姿も美しい菓子につくられることが多い。それらのうち,最も早く見られる名称はきんとんで,1761年(宝暦11)刊の《御前菓子図式》には〈大徳寺きんとん〉の名で小豆あんをこなしで包んだものが見え,1841年(天保12)刊の《菓子話船橋》には,ぎゅうひを芯にした現在同様のきんとんが〈紫きんとん〉の名で記載されている。
→金団(きんとん)
執筆者:鈴木 晋一
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