改訂新版 世界大百科事典 「老中奉書」の意味・わかりやすい解説
老中奉書 (ろうじゅうほうしょ)
江戸幕府の老中が将軍の意を奉じて発給する公文書。用途別に見て,儀礼に属するものと政治的命令をなすものとに大別される。前者には将軍御内書に付属する副(そえ)奉書や,年頭・八朔などの大名諸家よりの献上物に対する返礼形式のものがあり,後者にはキリシタン禁令・大赦令などの一般的な法令伝達,御手伝普請・火の番警団の任命などの個別の大名への達(たつし),大名諸家よりの城郭修復申請に対する許可などのものが見られる。また様式の面から見ると,中世の奉書(下知状,御教書など)が下文様文書であるのに対し,これは書状様式で統一されていること,折紙であること,日付部分は年号を有さず月日のみであること(ただし城郭修復許可の奉書などに〈付(つけ)年号〉を有する)等の特徴が挙げられる。老中奉書は通常は老中全員が連署し,小事に限って月番老中の一判で差し出すこととしていた。
執筆者:笠谷 和比古
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