老女物(読み)ろうじょもの

日本大百科全書(ニッポニカ)「老女物」の解説

老女物
ろうじょもの

能の用語。老女をシテとする能で、とくに重く扱われる。年齢、芸力がつり合わないと上演が許されない。老いた小野小町(おののこまち)を描く三番と、美しい舞姫であったために地獄に落ちた老女の霊の『檜垣(ひがき)』、山に捨てられた老女の悲しみと孤独を扱った『姨捨(おばすて)(伯母捨)』の五曲がある。『卒都婆(そとば)小町』を入口として、『鸚鵡(おうむ)小町』、その奥に三老女として『姨捨』『檜垣』『関寺(せきでら)小町』があり、最高の秘曲として扱われている。『関寺小町』は、喜多流を開いた喜多七太夫(しちだゆう)が演じ、その伝承経路が問題化して幕府から罰せられたほどの秘曲とされてきた。観世(かんぜ)流では比較的上演されるが、明治以降、1987年(昭和62)現在までに金春(こんぱる)流で三度、宝生(ほうしょう)流、喜多流では一度しか演じられておらず、金剛流は上演記録皆無である。なお金剛流では、現在能である『関寺小町』『鸚鵡小町』『卒都婆小町』を三老女として扱っている。

[増田正造]

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精選版 日本国語大辞典「老女物」の解説

ろうじょ‐もの ラウヂョ‥【老女物】

〘名〙 謡曲で老女をシテとするもの。「檜垣(ひがき)」「姨捨(おばすて)」「関寺小町(せきでらこまち)」「卒都婆小町(そとばこまち)」「鸚鵡小町(おうむこまち)」の五曲の称。特に、「檜垣」「姨捨」「関寺小町」は三老女と呼ばれて大曲とされる。

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