日本大百科全書(ニッポニカ) 「耕治人」の意味・わかりやすい解説
耕治人
こうはると
(1906―1988)
詩人、小説家。熊本県生まれ。明治学院高等部英文科卒業。千家元麿(せんげもとまろ)に師事し、『耕治人詩集』(1930)、『水中の桑』(1938)などを刊行したが、1939年(昭和14)ごろから小説にも手を染める。ゾルゲ事件を扱った『喪(うしな)われた祖国』(1959)や伝記小説『詩人蘿月(らげつ)』(1964)などの作品もあるが、とくに私小説に彼の本領は発揮されており、読売文学賞を得た『一条の光』(1969)は代表的な作品集である。なお『耕治人全詩集』(1980)によって、81年(昭和56)に芸術選奨を受けた。
[大森澄雄]
『『耕治人自選作品集』全1巻(1983・武蔵野書房)』▽『大森澄雄著「耕治人」(『私小説作家研究』所収・1982・明治書院)』