改訂新版 世界大百科事典 「職業訓練校」の意味・わかりやすい解説
職業訓練校 (しょくぎょうくんれんこう)
職業に必要な技能と関連知識を教授することを目的とする教育訓練施設で,職業能力開発促進法に準拠している。(1)中学卒業を入学資格とする2~3年の課程,あるいは高校卒業を入学資格とする1年前後の課程をおく職業訓練校が最も多く,都道府県,雇用促進事業団,個々の企業,あるいは職人・小企業主の組合が設置運営している。そのほか,(2)高校卒業を入学資格とする2年課程の職業訓練短期大学校,(3)同じ入学資格の4年課程で職業訓練の指導員養成を主目的とする職業訓練大学校,(4)身体障害者職業訓練校などがある。(2)には雇用促進事業団が設置運営するものと企業が独自に設置しているものとがあり,(3)は雇用促進事業団が設置する一校のみ,(4)の大部分は国が設置し都道府県に運営を委託している。すべて未経験者に対する養成訓練を主体としているが,経験者に対する追加訓練や向上訓練,あるいは転職者のための転換訓練なども実施している。学校数などは〈職業訓練〉の項参照。
日本では,第2次大戦までは,習熟した技能を要する労働者は,熟練した職人のもとで3~5年の経験を積む方式,あるいは大企業や官営工場の教育施設で養成されてきたが,熟練工不足が顕在化した第2次大戦中から,国,都道府県が設置する職業補導所による養成が始まった。1958年に職業訓練法が制定され,技能教育を行う各種の教育訓練が〈職業訓練〉の名のもとに体系的に整備された。同法に準拠する訓練施設を当初は〈職業訓練所〉と称したが,69年の同法改正により〈職業訓練校〉と改称した。職業訓練校に法的基礎を与えている職業訓練法は,85年の全面改正によって職業能力開発促進法となり,今日に至っている。
→職業教育
執筆者:佐々木 享
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報