肉体の門(読み)ニクタイノモン

デジタル大辞泉 「肉体の門」の意味・読み・例文・類語

にくたいのもん【肉体の門】

田村泰次郎の小説。昭和22年(1947)発表。敗戦後の東京を生き抜こうとする娼婦たちの姿を描く。
マキノ正博(マキノ雅弘)監督による映画の題名。昭和23年(1948)公開。出演、月丘千秋、轟夕起子、田崎潤ほか。
鈴木清順監督による映画の題名。昭和39年(1964)公開。出演、野川由美子、河西都子、宍戸錠ほか。
西村昭五郎監督による映画の題名。昭和52年(1977)公開。出演、加山麗子、山口美也子、遠藤征慈ほか。
五社英雄監督による映画の題名。昭和63年(1988)公開。出演、加納みゆき、かたせ梨乃、渡瀬恒彦ほか。
[補説]はいずれも原作とする作品。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「肉体の門」の意味・わかりやすい解説

肉体の門
にくたいのもん

田村泰次郎(たいじろう)の中編小説。1947年(昭和22)3月号の『群像』に発表。敗戦後の廃墟(はいきょ)と化した東京の、盛り場に近い河岸の焼けビルに、パンパンとよばれる娼婦(しょうふ)たちが共同生活をしている。彼女たちには、肉体は売っても男に情をもってはならぬという厳しい掟(おきて)がある。だが、ボルネオ・マヤとよばれる女は、紛れ込んできた復員者の伊吹という男によって肉体の喜びを知らされる。それが発覚し、マヤは仲間からリンチを受けるのだが、宙吊(づ)りにされたまま、殉教者のごとく肉体の歓喜も知らぬ仲間たちを意識の底で嘲笑(ちょうしょう)している。戦後の混乱期に肉体文学として爆発的人気をよんだ作品。

中石 孝]

『『筑摩現代文学大系62』(1978・筑摩書房)』

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デジタル大辞泉プラス 「肉体の門」の解説

肉体の門

1988年公開の日本映画。監督:五社英雄、原作:田村泰次郎による同名小説、脚本笠原和夫。出演:かたせ梨乃、加納みゆき、山咲千里、長谷直美、芦川よしみ、松岡知重、西川峰子ほか。戦後の娼婦たちの生き様を描く。

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