人が多く寄り集まり盛っている場所。その性格を考えるには、「盛り」ということば自体をみればよい。栄えていること、強壮なとき、繁盛すること、にぎわい、獣類の発情期、流行することなどを象徴する。昔なら、たとえば、有名な寺社の境内(けいだい)や門前町、市(いち)が立つ広場、また見せ物や芸能が興行される広場や河原などが、盛り場であった。人が寄り集まる「場」には飲食業者がやってくる。付近に色町もでき、活気に満ちてにぎわう。そして、そこが風俗、流行、情報、歓楽の中心地となる。京都の四条河原(しじょうかわら)は17世紀初めから有名な盛り場であったし、江戸では両国、上野広小路(ひろこうじ)、浅草などが代表的なものであった。明治になると、東京の浅草公園六区の日本パノラマ、木馬館などを中心とした興行街が、玉乗り、剣舞(のちに剣劇に発展)、芝居、寄席(よせ)などで一世を風靡(ふうび)したし、京都では新京極(しんきょうごく)、大阪では千日前(せんにちまえ)、道頓堀(どうとんぼり)が繁盛した。
現在では都市拡大化で住宅が広大に広がっているため、都市の盛り場とは交通の要所であることが不可欠となり、百貨店、大商店街、映画館、ディスコ、遊戯場を中心に、ショッピング・アミューズメントセンターに内容も性格も変わった。またカラオケバーや風俗営業の店が増えた。社会心理からいって、活気とにぎわいの盛り場は若者にとって魅力的であり、女性には自分の装いを買って着て見せる場であり、規制の多い勤め人にとっては仕事後の解放感に浸る場なのであろう。
[深作光貞]
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