飛沫(ひまつ)感染し、肺炎の起因菌になりやすい肺炎球菌に対するワクチン。増加の一途をたどる肺炎死に対して、肺炎予防を目的に高齢者に対する肺炎球菌ワクチンの無料の定期接種が法制化され、2014年(平成26)10月から実施されている。毎年(2018年3月まで)、その年度中に65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳になる人が対象となる。肺炎死は栄養改善や抗菌薬の進歩によって減少していたが、社会の高齢化に伴い増加に転じ、日本では死因の第3位に位置している(2014)。そのうち95%は65歳以上の高齢者である。呼吸器感染症である大葉性肺炎などを引き起こす肺炎球菌は、ストレプトコッカス属に含まれるグラム陽性球菌である連鎖球菌の一種で、肺炎連鎖球菌あるいは肺炎双球菌ともよばれる。ほかに耳鼻科感染症である中耳炎や副鼻腔(ふくびくう)炎、髄膜炎(小児細菌性髄膜炎)や敗血症などの重症感染症の原因菌ともなる。治療にペニシリン系抗菌薬が用いられていたが、1977年にこの薬剤に耐性を示すペニシリン耐性肺炎球菌が確認され、問題となっている。こうしたペニシリン耐性菌にはカルバペネム系抗菌薬などが用いられる。
年齢とともに免疫力は低下していくので、体調不良などちょっとしたことがきっかけで、肺炎をおこして症状が急に悪化することも多い。そのため厚生労働省では、高齢者の肺炎予防のために肺炎球菌ワクチンの定期接種を奨励している。また、毎日の口腔ケアの励行など予防対策も必要である。
[編集部]
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出典 母子衛生研究会「赤ちゃん&子育てインフォ」指導/妊娠編:中林正雄(母子愛育会総合母子保健センター所長)、子育て編:渡辺博(帝京大学医学部附属溝口病院小児科科長)妊娠・子育て用語辞典について 情報
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