能島流（読み）のじまりゅう

精選版 日本国語大辞典

のじま‐りゅう‥リウ【能島流・野島流】

1. 〘 名詞 〙 中世瀬戸内海の海賊として活躍した村上一族のうち、伊予国（愛媛県）能島を根拠地とした能島村上氏がたてた水軍戦法。中世末期から近世初期にかけて大成し、その頃から能島村上氏が毛利家に仕えたので、水軍書として伝えられたものが多く、三島(さんとう)流や一品(いっぽん)流水軍書のもととなった。

出典　精選版 日本国語大辞典

日本大百科全書(ニッポニカ)

能島流
のじまりゅう

現存する日本泳法の一流派。小池流、岩倉流とともに紀州三流派の一つ。現在は野島流と称している。能島流が紀伊徳川藩で行われるようになったのは1669年（寛文9）に名井仙兵衛重勝が徳川頼宣(よりのぶ)に仕えたときからである。能島流初代藤原秀時は1278年（弘安1）に漢土に漂着し滞留7年、秘事を得て故郷能島に帰り能島海賊流を創始したと伝えられるが真偽は明らかでない。和歌山での能島流は、1906年（明治39）に紀州三流派が大日本武徳会和歌山支部水練部として統合されたときに終わり、和歌山を離れた（現在、家元は大阪）。能島流の伝書には『能島流游泳(ゆうえい)術』がある。泳法は蛙足(かえるあし)を主体とし、小池流、岩倉流とも似ている。平泳、抜手(ぬきて)、掻分(かきわけ)、鯔飛(いなとび)、立泳などがある。

［笹島恒輔］

出典　小学館　日本大百科全書(ニッポニカ)

世界大百科事典（旧版）内の能島流の言及

【水泳】より

…古式泳法のおもな流派を次にあげる。　(1)能島流　野島流とも書く。紀州藩の能島水軍の伝統をひくといわれ，南北朝時代に村上義弘が海賊流として創設，のち能島流となり，名井家，多田家に伝わった。…

※「能島流」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典｜株式会社平凡社「世界大百科事典（旧版）」