窒素循環(読み)チッソジュンカン

デジタル大辞泉の解説

ちっそ‐じゅんかん〔‐ジユンクワン〕【窒素循環】

自然界において窒素が巡っている現象。大気中の分子状の窒素が根粒菌アゾトバクターなどにより硝酸アンモニアとして固定され、これらが緑色植物に吸収されてたんぱく質核酸の成分となり、動物に摂取されたのち尿あるいは遺体が分解されて再び窒素として大気中に遊離し、これを繰り返すこと。

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百科事典マイペディアの解説

窒素循環【ちっそじゅんかん】

自然界での窒素原子の循環をいう。空気中の窒素は根粒菌,土壌細菌によって固定され,また空中放電で窒素酸化物を生ずる(空中窒素固定)。緑色植物はアンモニア,硝酸の形で窒素を吸収・同化し,タンパク質,核酸などを合成する。これら窒素化合物は食物として動物体に移り,一部は尿素,尿酸などの形で排出される。また,アンモニアや硝酸合成など工業的な遊離窒素固定も行われ,これらも肥料として植物に吸収される。

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大辞林 第三版の解説

ちっそじゅんかん【窒素循環】

窒素が自然界において、細菌・植物・動物の物質代謝によって、大気中の分子状窒素から硝酸・アンモニアなどの無機化合物、タンパク質などの有機化合物へと変遷し、再び遊離の窒素にもどって無生物界と生物界をめぐっている現象。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

窒素循環
ちっそじゅんかん

自然界における窒素は、大気中の分子状窒素をはじめ、硝酸などの無機窒素化合物、タンパク質や核酸などの有機窒素化合物など、多種多様な物質として存在する。窒素は、これらの異なった物質に形を変えながら、大気中、生体内、あるいは土壌や水中を循環しているわけであり、この現象を窒素循環という。
 窒素は化学的に安定な元素で、分子状の窒素ガスとして空気の約80%を占めている。窒素ガスを直接窒素源として利用できる生物は、ごく限られた種類の細菌、根粒菌、放線菌、藍藻(らんそう)類などにすぎないが、これらは、安定な分子状窒素を他の窒素化合物に変える重要な役割を果たしている。大気中には、少量ではあるが硝酸などの無機窒素化合物が存在し、降雨や塵(ちり)とともに地上に運ばれる。この大部分は地上から放出されたものであるが、一部は大気中で放電や紫外線の作用によって形成されたものである。
 窒素が生物界に取り込まれるおもな入口は緑色植物である。土壌中の硝酸塩やアンモニウム塩のような無機窒素化合物は、植物の根から吸収され、アミノ酸やタンパク質に合成される。植物群落が吸収する無機窒素の量は、群落の種類や環境条件などで異なるが、年間1ヘクタール当り、広葉樹でおおよそ55キログラム、針葉樹で35~45キログラム、耕地で50~90キログラムと推定されている。植物によって同化された窒素の大部分は、枯死体として直接土壌に戻されるが、一部は食物として動物に摂取され、身体の構成や栄養に役だってから、尿素や尿酸などの排出物として、あるいは遺体となって土壌に戻される。この量は、森林では吸収される窒素量の80%、耕地では約25%に達するのが普通である。
 土壌に戻された遺体や排出物は、腐敗細菌などの微生物によって次々と段階的に分解され、最終的にはアンモニアや硝酸などの無機物となる。したがって、森林では年間1ヘクタール当り7~11キログラムほどの窒素が窒素固定菌や降雨などによって補給されれば、群落における窒素の平衡が維持される。いわゆる安定な森林とは、この状態をいうわけである。これに対して耕地の場合は、高い生産を維持するために、かなり多量の窒素肥料を補給する必要がある。
 土壌中でのアンモニアは、好気的条件で硝化細菌によって硝酸にまで酸化されるが、嫌気的条件では、硝酸は硝酸呼吸によって還元され、さらに脱窒素細菌によって分子状の窒素に還元されて大気に戻される。[吉田精一]

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