女帯の一種。表と裏の材質、色の異なった帯地を縫い合わせた帯で、普段着用に用いた。江戸時代中期ごろから現れていたようであるが、後期に片面に黒繻子(くろじゅす)、片面に淡色の染め柄の羽二重(はぶたえ)、壁縮緬(ちりめん)、縞(しま)の織物などをあわせて用いるようになった。黒色を夜に、淡色を昼に例えて昼夜帯ともいい、クジラの背の黒色、腹の白色に相当することから鯨帯ともいった。帯の幅は31センチメートル前後、丈は約4.2メートル、両面異なる材質、色の組合せ方により、季節にあわせて使い分けができる。また黒繻子を、帯幅の3分の1ほど、表の方へ折り返す締め方もあり、浮世絵に、庶民の婦女子の帯姿を見ることができる。第二次世界大戦前まで用いられていたが、名古屋帯が一般に多く用いられるようになって、だんだんと用いられなくなり、戦後はほとんど姿を消してしまった。
[藤本やす]
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