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自民党の危機 じみんとうのきき

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知恵蔵の解説

自民党の危機

2007年7月の参議院選挙で自民党は大敗し、公明党と合わせても参議院の過半数を維持することはできなくなった。これにより政権の維持は極めて難しくなった。さらに、9月には安倍晋三首相が、所信表明演説の直後、代表質問の直前という異例のタイミングで、突然退陣を表明し、政界は大混乱に陥った。自民党は直ちに後継総裁選挙を行い、福田康夫氏が選出された。しかし、自民党の危機は続いている。 05年の衆議院総選挙では記録的大勝を収め、小泉首相時代には勢力を盛り返したように見えた自民党だが、実は深刻な危機に直面している。それは、リーダーシップ、組織、政策の3つの側面で指摘できる。 小泉純一郎という例外的な人気者に依存し、自民党内には総主流派体制ができた。人気者にぶら下がって自分も当選しようという脆弱(ぜいじゃく)な政治家が増え、かえって党としての活力が低下した。次の世代を担うリーダーの育成には成功していない。 また、農協、商工団体、医師会、特定郵便局長会など伝統的な自民党の支持基盤は、小泉時代の規制緩和、歳出削減、民営化などによって痛めつけられ、政治的な戦闘力を失った。参院選における地方での大敗は、このような組織基盤の崩壊に起因している。 政策面でも、小泉時代の構造改革路線が格差社会をもたらし、国民の間には生活不安が広がっている。今後自民党がどのような政策的軸足を取るかが問われている。 このように、自民党が政権を維持するためには、多くの難問を解決しなければならない。

(山口二郎 北海道大学教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」
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