船泊遺跡(読み)ふなどまりいせき

日本歴史地名大系 「船泊遺跡」の解説

船泊遺跡
ふなどまりいせき

[現在地名]礼文郡礼文町大字船泊村 ウエンナイホ

船泊湾の奥部に狭く続く船泊砂丘上にある。この砂丘では明治時代から遺物が発見されており、「東京人類学雑誌」第五一号(明治二三年六月刊)の記事「北海道北見国礼文郡ニ於テ発掘セル土器石器等」で、「船泊村字ヲションナイ海岸ヲ距ル三十間許ノ丘ヨリ発掘セシ石器」として石器実測図が掲載されている。「ヲションナイ」は大字船泊村字ヲションナイで、当遺跡より北東約一キロの船泊市街地に存在するオションナイ遺跡ないしはオションナイ2遺跡のどちらかに該当すると思われる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「船泊遺跡」の意味・わかりやすい解説

船泊遺跡
ふなどまりいせき

北海道礼文(れぶん)島北岸の海岸砂丘上に所在している遺跡。ここには縄文文化期とそれ以降の年代の遺跡があるが、1949年(昭和24)に行われた調査では、縄文文化中期~後期の遺物包含層から、土器、石器、骨角器などが出土した。土器は下層から円筒式、上層から後期の一連の土器が発見され、それぞれ舶泊下層式、同上層式と命名され型式分類が行われた。文様斜行縄文を地文に、刻線文を主体に磨消(すりけし)手法が加えられている。またオホーツク文化の遺跡からは、仰臥屈葬(ぎょうがくっそう)の人骨が12体発見され、副葬品として骨角製垂飾(すいしょく)、石製管玉(くだたま)、骨鏃(こつぞく)、骨小刀、骨銛、骨針(こっしん)、鉄製刀子(とうす)、鉄製斧などが出土した。

[大場利夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android