デジタル大辞泉 「とど」の意味・読み・例文・類語
とど[名・副]
1 最も成長した段階のボラ。
2 最後。限度。
「全体土間も六人―で見るといいけれど」〈滑・客者評判記〉
[副]《「とどのつまり」の略》結局。しまいに。
「二三の問答があって、―僕が狩野法眼元信の幅を…売渡す」〈漱石・吾輩は猫である〉
[類語]結局・結句・
哺乳(ほにゅう)綱鰭脚(ききゃく)目アシカ科の海産動物。分布域はきわめて広い。アリューシャン列島からアラスカ、カナダ、カリフォルニアにかけて、またカムチャツカ半島、千島列島、オホーツク海北部および樺太(からふと)(サハリン)にも繁殖場や上陸場がある。冬から春にかけては北海道や沿海州の沿岸にも現れる。生息数は全体で10万~15万頭である。アシカ科動物のなかでもっとも大きく、海馬(かいば)ともよばれる。雄は体長3.2メートル、体重約1トン、雌は2.4メートル、280キログラムに成長する。大きさ以外にも雌雄で差があり、雄の成獣は頸(けい)部が著しく肥大し、長さ4センチメートルほどの剛毛で覆われる。アシカより明るい褐色で胸腹部は暗色である。上あごの第4と第5の頬歯(きょうし)(小臼歯(きゅうし)と大臼歯をあわせたもの)の間に歯1本分以上のすきまがあり、アシカやオットセイと区別できる。
沿岸性の動物で、活動域はおもに岸より15海里(約28キロメートル)以内、180メートルより浅い海域である。食物の幅は広く、魚類や頭足類を中心に甲殻類も食べる。平坦(へいたん)な海岸だけでなく、かなり傾斜のある岩場でも繁殖する。一夫多妻性でハレムの広さは約225平方メートル、雌の数は平均10頭である。雄はこのハレムを20~40日間保有し、ほかの雄から防衛する。雄どうしの闘いは儀式化された示威行動で、かみ合って傷つくことは少ない。5~7月に交尾し、翌年の5、6月に出産する。1産1子で双産はまれである。新生子は体長100センチメートル、体重20キログラム、授乳期間は3~12か月と幅がある。雌は3、4歳、雄は5歳で性的に成熟する。ただし繁殖に参加する雄は9~13歳である。繁殖後、8~10月に島を離れ回遊生活に入る。
北海道へ回遊してくるものは千島と樺太のトドで、ロシアの推定では約3000頭である。漁業の害獣として羅臼(らうす)、利尻(りしり)、礼文(れぶん)などで駆除されている。肉はミンクやキツネの餌(えさ)にされるが、毛皮には下毛(綿毛)がなくきわめて厚いので利用されていない。
[伊藤徹魯]
鰭脚(ききやく)目アシカ科の哺乳類。アシカ科の仲間では最大。漁業に与える被害が大きいので漁業者からきらわれる存在。カイバともいう。北半球においてアシカ科の動物は,太平洋にのみ分布し,大西洋には分布しない。トドは北海道,サハリン,千島列島,アレウト列島,アラスカ半島,北アメリカ太平洋沿岸に分布,カリフォルニアアシカの生息域北側,オットセイの南側に分布する。北海道では繁殖場はないが,全域に出現する。日本海,オホーツク沿岸に雄が,太平洋沿岸には雌が回遊する。オットセイのように7000kmに及ぶ大回遊はしないが,小規模の繁殖回遊をし,5~8月の繁殖期は繁殖場付近で過ごし,秋,冬は南下回遊する。一般にアザラシと異なり海氷を避ける。一夫多妻型で雄が大きい。雄が体長300~325cm,体重1tに達するのに対し,雌は体長240cm,体重270kgでしかない。雄,雌ともに茶褐色の体色をし,あらい毛でおおわれる。オットセイのような柔らかい下毛はほとんどない。雄は首の周囲にあらい毛のたてがみが発達し,額が高く突出している。食性は魚が中心であるが,イカ,タコ,ときにはアザラシの子や海鳥も捕食する。胃の中に石がよくのみこまれているが,その理由はわかっていない。タコとともにのみ込まれるともいわれている。
→アシカ
執筆者:内藤 靖彦
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…出世魚の一つで,稚魚から成魚まで段階別に各地でいろいろな名で呼ばれる。代表的なものはハク,ゲンプク,キララゴ(全長2~3cm),オボコ,オボッコ,イナッコ,スバシリ(3~18cm),イナ(18~30cm),ボラ(30cm以上)で,とくに大きくなったものをトド(〈とどのつまり〉の語源)という。縁起のよい魚として親しまれ,昔は尾頭付きの膳に出されることが多く,とくに,〈お食い初め〉の膳にはとんとん拍子に出世するということで欠かせないものであった。…
…人になれやすく,飼育学習によりいろいろな芸を仕込める。 アシカ科には狭義のアシカのほか,オットセイ,トド,オタリアなど7属14種が知られている。アザラシ科に比べては小さい。…
※「とど」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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