船迫窯跡(読み)ふなさこようせき

日本歴史地名大系 「船迫窯跡」の解説

船迫窯跡
ふなさこようせき

[現在地名]築城町船迫

城井きい川西岸丘陵の北端部に位置し、須恵器生産を主体とした茶臼山東ちやうすやまひがし窯跡、豊前国分寺所用瓦生産を主体としたどうがへり窯跡と宇戸うど窯跡、工房跡の堂がへり遺跡の四支群からなる。国指定史跡。当窯跡北西約三キロには豊前国分寺跡(豊津町)、西北西二・五キロに上坂かみさか廃寺(同上)、また周辺丘陵に古墳時代後期から終末期の堂がへり古墳・ひめのり古墳・火箱ひばこ古墳・水上みずかみ古墳・うらさこ古墳などが分布する。平成六年(一九九四)から調査が実施され、標高約六〇メートルの丘陵斜面から六世紀後半の須恵器焼成窯四基、七世紀中頃から後半の初期瓦焼成窯三基、豊前国分寺所用瓦窯三基が確認された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

国指定史跡ガイド 「船迫窯跡」の解説

ふなさこかまあと【船迫窯跡】


福岡県築上郡築上町船迫にある窯跡。英彦(ひこ)山系から北へ延びる支脈に連なる丘陵北端に所在する。この遺跡は茶臼山東窯跡、堂がへり窯跡、堂がへり遺跡(瓦製作工房)からなる窯跡群で、大字名をとって船迫窯跡群と総称。すでに失われているが宇土窯跡も含まれる。出土品には須恵器(すえき)、百済(くだら)系単弁八葉蓮華文軒丸瓦(のきまるがわら)、鴻臚館(こうろかん)系複弁七葉蓮華文軒丸瓦、法隆寺系忍冬唐草文軒平瓦、鴟尾(しび)、鬼瓦、平瓦、丸瓦、粘土のほか、ミニチュア土器、須恵質の有孔円盤などがあり、茶臼山東4号窯と堂がへり3・4号窯からは、供給先は不明ながら、北部九州地方では初現期に相当する瓦が、宇土窯跡では9世紀前半の国分寺補修用瓦が出土。この窯跡は、6世紀後半の須恵器の焼成開始から7世紀中ごろの初期瓦生産を経て、豊前国分寺に瓦を供給するまでの変遷をたどることができる。また、掘立柱建物などの工房跡と窯跡とが一体となった全体構造が明らかな数少ない窯跡として貴重なことから、1999年(平成11)に国の史跡に指定された。周辺は船迫窯跡公園になっている。JR日豊本線築城駅から車で約10分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報

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